2020年6月30日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
最終処分と民主主義

ここまできて、ようやく地層処分に入ることができる。これから、地層処分の条件や問題、最終処分地を選定する方法などについて述べていかなければならない。


しかしその前に、ぼくたちがここで最終処分の根本的な問題に直面していることを知っておきたい。それは、なんだろうか。


それは、民主主義の問題だ。


最終処分において、いかに民主的な手続きを経て最終処分の方法から最終処分地までを選定しても、民主主義は最終処分地を選定する世代にしか成り立ないということだ。


すでに述べたように、最終処分の期間は10万年から100万年に及ぶ。その期間全体に対し、民主主義は成立しない。最終処分に関していえば、今まだ生まれていない世代は、その選定手続きに参加することはできない。今の世代だけが決定する。


最終処分に関わる世代は、その後もたくさんいる。しかし、まだ生まれていない世代の声を今行われる最終処分地を選定する手続きに反映することはできない。


民主主義の到達できる期間には、限界がある。だから最終処分においては、それに関わる世代すべてに対して民主的に選定することができない。世代間においては、民主主義は成り立たないということだ。


でもぼくたちは今、最終処分について決定しなければならない。その場合、この民主主義の限界を認識しておくのは、とても大切だと思う。


では、今生きているぼくたちはどうすべきなのか。それについては、次回考えたい。


(2020年6月30日)
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