2021年6月01日掲載 − 脱原発
小さくても原子力発電 - 小型原子炉は救世主か(4)

小型原子炉の開発が話題になって、原発推進する側も、反対する側もちょっと過剰反応していないかと思う。すでに書いたように、安全性の問題はまだこれからだ。


もうひとつ絶対に忘れてはならないのは、いくら小さくても原子力発電は原子力発電だということ。


ここで、おさらいしておこう。


原子力発電では、発電方法は火力発電と変わらない。違うのは、熱をどうやって発生させるかだけ。原子力は核分裂によって熱を発生させる。石炭火力は石炭を燃やして熱を発生させる。それ以外は、同じだ。


だから小型原子炉には、タービンも発電機も必要となる。発電所の安全性は、単に原子炉の安全ばかりではない。タービンと発電機も組み合わせて、安全性を考えなければならない。特に、タービンがとてもセンシブルで、やっかいだ。


小型原子炉はモジュール型で、発電総出力にいろいろバリエーションがあるので、タービンと発電機の容量をどう柔軟に組み合わせるのかが問題となる。その点について、小型原子炉を開発する米国のニュースケールパワー社も、まだ十分に構想していないように感じる。


原子力発電である以上、核燃料を使い、放射性廃棄物が残る。


原子炉の小型化で発電所が分散されると、発電所の治安も問題になる。テロ攻撃に対する治安対策も、分散して講じざるを得なくなる。これは、コスト高となるどころか、治安対策も難しくなる。


ぼくは、小型原子炉にしたところで、原子力発電の根本的な問題は何も解決されないと思う。その点で、何も新しい技術とはいえない。


放射性廃棄物の処理問題が解決できない状況で、放射性廃棄物を増やすだけの技術を再生させるのは、愚かもいいところ。


原子力発電を巡る過去の教訓から、何も学んでいない。


(2021年6月01日)
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関連サイト:
小型原子炉を開発するニュースケールパワー社のサイト(英語)
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