2022年3月16日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
戦争になれば、原発は核兵器と同じ

ロシア軍がウクライナに侵攻して、明日3月27日で3週間となる。これは、「ウクライナ侵攻」といわれることも多い。しかしこれは、単に「侵攻」や「戦争状態」ではない。明らかに「戦争」だ。それをはっきりと、認識しておきたい。


これを「戦争」といわなかったら、ロシアのプーチン大統領が「戦争」とはいわせないように弾圧しているのと変わらない。


ロシア軍はこれまで、すでに稼働していないチェルノブイリ原発と、稼働中のザポリージャ原発を制圧した。


それが、何の目的かははっきりしない。ここで怖いのは、停止してしまった原発よりも、稼働中の原発が攻撃されることだ。ザポリージャ原発は今、ロシアの管理下に置かれ、運転されている模様だ。


ウクライナ国家原子力規制監督局(SNRIU)の公式サイトにアクセスしても、測定データなどの詳細情報にアクセスできないものがある。それがなぜなのかも、ちょっと気にかかる。


イグナリナ原発
リトアニアのイグナリナ原発は、チェルノブイリの事故原子炉と同じタイプの黒鉛減速沸騰軽水圧力管型炉(RBMK)だった
テメリン原発
チェコのテメリン原発では、旧ソ連で開発されたザポリージャ原発と同じロシア型加圧水型炉(VVER-1000/320)が稼働している

戦争になれば、稼働中の原発は絶好の攻撃の的だ。原子炉は格納容器に包まれ、それなりの攻撃にも耐える可能性がある。ただ、その耐久性がどの程度なのか。たとえば戦闘機が墜落することに対し、それだけの耐久性が想定されているのだろうか。たとえそう想定されていても、実際に設計通りの耐久性があるのかどうかも問題だ。


たとえ格納容器の安全性に問題がなくても、緊急停止後に冷却系統が機能しなければ、原発がたいへん危険な状態になる。それは、11年前に起こった福島第一原発事故の状況を見ればわかる。


ザポリージャ原発で稼働するロシア型加圧水型炉(VVER-1000/320)では、緊急冷却系統が40時間程度しか稼働しないといわれる。非常電源として利用されるディーゼル発電機が稼働する間だけだ。


戦争では、いくらでも誤射の可能性がある。原発とは関係ないところで系統が爆破され、外部電源が喪失する心配もある。


昨年2021年末に最終停止したドイツのグローンデ原発では、米国での9.11テロ事件後、爆薬を爆発させて原発を霧で見えないようにする特殊な装置が設置された。しかし戦争の時には、それもどれほど効果があるのだろうか。原発のある方向に乱射されると、原子炉に命中するのは間違いない。


戦争になると、原発は無防備だといわなければならない。原発が攻撃されて破壊されると、その被害は計り知れない。


原発からの放射能汚染で怖いのは、汚染される地域が風向きによって、莫大に広がることだ。放射性物質が風によって広く拡散する。


それに対して核兵器が爆発すると、すごい熱と強い放射線が発せられる。汚染地域は主に、爆風の方向に広がる。その点で、原発と核兵器は異なる。


しかし放射能汚染と被ばくの問題について考えると、核兵器が投下されなくても、原発があれば、核兵器を持っているのと変わらない。違うのは、能動的に攻撃するか、受動的に攻撃されるかだけだ。


原発の稼働する地域においては、これまで幸いにも、戦争が起こらなかった。それだけに、戦争時における原発の問題には現実味がなかったのだと思う。


戦時には原発も武器となり、核兵器と変わらない。原子力の平和利用などあり得ないのだ。ぼくたちは今回、その現実を痛感させられている。


(2022年3月16日)
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関連サイト:
ウクライナ国家原子力規制監督局(SNRIU)の公式サイト(英語)
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