元西ドイツの首都ボン市は、二酸化炭素の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを2035年までに実現することを目指している。
そのための一環として、ボン市は昨年2021年、市当局が関わるすべての建設計画において新築される建物の屋根にソーラーパネルを設置することを義務付けた。すでに建設中の建物も、その対象になる。
これは、市内で排出される温室効果ガスの半分以上が発電によるものだからだ。
住宅など既存の建物の屋根についても、その3分の2においてソーラーパネルを設置できる可能性があるという。
そのため、個人住宅の屋根の他、集合住宅におけるソーラーパネルの共同設置、外壁でのソーラーパネルの設置、太陽熱を熱供給に利用するソーラーコレクターなどの設置を促進するため、市の都市電力公社(シュタットヴェルケ)と協力して、2021年末から助成プログラムが進行している。
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ボン市の都市電力公社(シュタットヴェルケ)のソーラーパネル。ここでは、ゴミ焼却による熱を地域暖房熱源として利用するほか、ソーラーパネルが設置されている(写真:Stadtwerke/Magunia) |
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ボン市の都市電力公社(シュタットヴェルケ)は独自に、ソーラーパネルを設置しており、その発電出力は550kWpにのぼる。それによって年間、6000万kWhの電力を発電している。
それに加え、地元で太陽光発電する事業者も助成する。ここでは、すでに設置後20年を経過し、再エネ電力の固定価格買取制度(FIT制度)の恩恵を受けることのできない古い発電施設なども対象としている。
都市電力公社はさらに、市内で回収されたゴミの焼却によって発生する熱を地域暖房熱源として利用し、年間20万トン近くの二酸化炭素の排出を削減している。
今後の課題は、電気自動車を普及させるため、市内に充電スタンドを設置することだ。ボン市はそのために、都市電力公社と協力して約1400万ユーロ(約19億円)投資する予定だ。
さらに、市内の公共交通をグリーン化するため、公共バスの電気バス化も進んでいる。
(2022年3月13日) |