トロリーバスとは、道路上の架線から集電して電動機を回して動くバスのこと。架線から電気を得る集電装置がトロリーポールというので、トロリーバスというらしい。
トロリーバスは、19世紀後半にドイツのベルリンではじめて運行を開始したという。トリーバスの営業運転が最初に開始されたのも、ドイツ・ドレスデン。20世紀はじめのことだった。
内燃機関の発明で、トロリーバスは少なくなる。だが社会主義国家だった東欧諸国では、トロリーバスが長く運転されていた。今も運転されているところが多い。
トラム(路面電車)と異なるのは、軌道があるかないか。車輪もゴム製で、振動や騒音が少ないのが特徴だ。
トロリーバスは電気で動くことから、電気バスともいえる。ただ、電気バスのように大きくて、重いバッテリーが不要だ。だが道路上に架線が必要なので、架線を敷設しないといけない。架線は街の景観も損ねる。
とはいうものの、電気で動く点で、交通の再エネ化では貴重な存在だともいえる。
ベルリンの北東部にあるエバースヴァルデという町では、今もトロリーバスが運行されている。運行しているのは、地元地域でバスを運行する公共交通公社BBG社。
すべての路線がトロリーバスとなっているわけではない。市街中心を走る路線が中心だ。
エバースヴァルデは元々、社会主義国家の東ドイツに属していた。ドイツ統一後もそのトロリーバスを残し、運行していた。車両は現在、東ドイツ時代の古いものではなく、最新のバス車両で運行されている。
エバースヴァルデの属するドイツ東部のブランデンブルク州は、風力発電と太陽光発電、バイオガス発電の盛んなところ。ブランデンブルク州において再生可能エネルギーで発電された発電電力量は、同州の電力需要の95%に相当する。
その点で地産地消を条件にして単純計算すれば、エバースヴァルデのトロリーバスは、ほぼ再エネ電力で動いているともいえる。
エバースヴァルデは古い技術のトロリーバスを使って、再エネ化の先端を走っている。
(2023年1月10日)
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