福島第一原発で大惨事が起こった後、ペクチン剤を服用すれば、体内に入った放射性物質を排泄できるといわれていました。
ペクチンはたとえば、ジャムをゼリー化するのに使用される食品添加剤として利用されます。リンゴにペクチンがたくさん含まれていることは知られていると思います。そのペクチンをサプリメントとしたのがペクチン剤で、チェルノブイリ事故の影響を受けたベラルーシやウクライナなどで服用されています。
ペクチンは、食品と一緒に摂取してもペクチン重合体の分子が大きいので腸で吸収されません。ペクチンはカリウムやセシウム、ストロンチウムなどの陽イオンを結着する特性を持っており、食品の摂取や経口吸入によって体内に取り込まれたセシウム137やストロンチウム90の放射性核種を腸で吸収される前に腸内で結着して体外から排泄させます。
ただ、腸内で放射性核種を十分に結着するにはそれなりの量のペクチンが必要なほか、陽イオンならどれでも結着してしまうので、たとえばセレニウム、銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム、鉄などからだに必要なミネラルも結着して排泄させてしまう可能性があります。
ですから、元ミュンヒェン大学教授で現在ベラルーシで子どもの甲状腺ガンを治療するプロジェクトを指導している放射線生物学者で医師のエドムント・レンクフェルダーさんは「ペクチン剤を長期に服用し続けるのは、きわめて有害だ」とし、「その代わりに自然のリンゴを食べれば十分だ」と主張します。
日本はベラルーシやウクライナと食糧事情が違います。ベラルーシやウクライナで服用されているからといって、それをそのまま日本でも取り入れたほうがいいと考えるのは適切だとは思いません。
(2013年7月3日、おすと えいゆ) |