2025年10月06日掲載 − HOME − 小さな革命一覧 − 記事
ドイツ東部産の食品に手が出てしまう

東西ドイツが統一して35年。長いようで、アッという間という感じもしないではない。


ぼくは6年間東ドイツで暮らしていたが、東ドイツのスーパーに並ぶ食品はお世辞にもおいしそうだとか、きれいだとはいえなかった。だがいざ食べてみるとその素朴さに感動し、いつの間にかそのファンになっていたのは忘れられない。


たとえばビスケット。包装のビニールは汚いし、実物のビスケットも見栄えがよくない。しかしビスケットを口に入れると、素朴ということばが頭をよぎり、これいいなあと思っていた。


今となっては、東ドイツの食品メーカーは統一後倒産したり、旧西ドイツの企業に買い取られてしまった。


それでも、統一後に西側の資本で再建されたり、自力で再建し、資本主義経済で何とか生き残っているところもある。


食品は、できるだけ地元産のもの、あるいは地元に近いところでできたものを買うようにしている。先に述べたビスケットでは、ヴィッテンベルク産のビスケット(ザクセン・アンハルト州)。ベルリンから南にある宗教改革のルターの町でつくられている。


このビスケット、オーガニックなんだが、これを口に入れてシャキッと噛み砕くと、当時東ドイツで食べた素朴なビスケットの味を思い出す。今のほうが格段に上品な味をしているが、昔の素朴さが残っているのだ。


カマンベールのように表面に白カビの生えた軟質チーズは、デッヒョウ産(ベルリンから北西で、メクレンブルク・フォアポムメルン州)のチーズがいい。このチーズは、ヴィッテンベルク産のビスケット以上に昔の素朴さを残している。これもオーガニックだ。


同じメーカーのオーガニックのヨーグルトも食べる。


オーガニックの乳製品なら、ベルリンの北東にあるブロドヴィンというオーガニック村産のものだが、ちょっと高級すぎていつも食べるわけにはいかない。この村は、英国チャールズ王も訪れている。


なぜ、オーガニックのものに素朴さを感じるのか。


それは、添加物が使われていないか、少ないからではないかと思う。そこに旧東ドイツの味を感じるのは、旧東ドイツの食品も物資不足で添加物があまり使われていなかったからではないか。


今から思うと、添加物が使われていないので味が純粋で、そこに素朴さを感じていたのではないか。


旧東ドイツの味で忘れられないのは、今ベルリンのスーパーでも手に入る東部ドイツ南シュネーベルク産(テューリンゲン州)のジャガイモサラダとマカロニサラダだ。これは、見た感じも当時の面影を残している。味も当時のように素朴で、味が濃くない。


ドイツ西部で製造されたジャガイモサラダは、マヨネーズの味が濃くてあまり好きではない。ドイツ東部産のものとは対照的だ。


ビールは、だいたいドイツ東部産のビールしか飲まない。ヴェルネスグリューナー、ラーデベルガー、ケストリッツァー、ハッセレェーダー、リュプツァー、シュトルテベーカー(オーガニックもあり)。ノーネームの格安オーガニック・ビールもよく見ると、ベルリンで買えるのはドイツ東部で醸造されている。


ぼくは昔の素朴さを求めてドイツ東部産の食品を買ってしまうが、ドイツ西部南のバイエルン州やバーデン・ヴュルテムベルク州の市民は知らない銘柄ばかりで、まったく関心を持ってもらえないと思う。


でもまあ、それは当然だと思うし、これが統一後35年経ったドイツの現実でもあるのだろうな。


(2025年10月06日)
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拙書『小さな革命、東ドイツ市民の体験、統一プロセスと戦後の2つの和解』
関連資料:
ベルリンの文化ビール醸造所内博物館の東ドイツの日常展(ドイツ語)
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