2019年7月22日掲載 − ブラボー!
バロック音楽の演奏法が波及する

バロックオペラも含めバロック音楽は、古楽器を使ってバロック音楽を専門とするオーケストラによって演奏されるのが普通になった。


一般のオーケストラの場合でも、バロック音楽を専門とし、バロック音楽の演奏法に長けた指揮者が指揮するのが多くなった。その場合、リハーサルにおいて指揮者からバッロク音楽の演奏法がオーケストラに指示される。


本番で演奏を聴けば、それがうまくいったのどうかがすぐにわかる。


一般のオーケストラは得てして、カラヤンなど一世代前のマエストロの影響を受けている場合が多い。そうなると、どの時代の音楽もロマン派的になる。音がロマンチックに波打ってしまうのだ。


でも、バロック音楽の音は波打たない。バン、バンと歯切れがいいか、バーンと長い音も、円弧を描かない。


本来、モーツァルトやベートーヴェンなど古典派の音楽は、バロック音楽を継承してそうなったはずだ。でもバロック音楽の演奏法が普及してくるまでは、古典派の音楽はむしろ、それに続くシューマンやシューベルトなどロマン派的に演奏されていた。


それを、カラヤンなど一世代前のマエストロのせいにするつもりはない。


むしろ、古楽器がまだあまり普及せず、バロック音楽の演奏法もよく知られていなかったからだと思う。それに続く古典派の音楽が、バロック音楽の演奏法から入っていくべきことにまだ気づいていなかっただけだと思う。


それを気づかせてくれたのが、アーノンクールなどバロック音楽を専門とする指揮者たちだ。


だからアーノンクールがベートーヴェンを指揮した時は、とても新鮮で、斬新だった。高齢な聴衆が心臓麻痺を起こすのではないかといわれるくらい、ベートーヴェンの音楽がダイナミックになった。


こうして、モーツァルトやベートーヴェンの音楽が新しく解釈された。そして今、そういう演奏法が古典派音楽の主流になった。


今年春、ベルリンにおいてバロック音楽を専門とするレネ・ヤコブスがバロックオーケストラとともにベートーヴェンの〈ミサ・ソレムニス〉を指揮している。一般的には、おもしろい試みかもしれない。


でもぼくからすれば、それは実験ではなく、当然そう演奏されていいのだ。


(2019年7月22日)
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