2023年9月28日掲載 − HOME − ぶらぼー! − オペラ
バレンボイムの後任はティーレマン

昨日2023年9月27日、空席となっているベルリン国立オペラの音楽監督に、現在ドレスデン・シュターツカペレ(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)の首席指揮者を務めるクリスティアン・ティーレマンが就任すると発表された。就任するのは、来年2024年9月1日から。30年の長期に渡って音楽監督を務めたダニエル・バレンボイムの後任となる。


ぼくはバレンボイムの辞任直後から、現在ベルリンに隣接するポツダムの室内管弦楽団カンマーアカデミーの首席指揮者・芸術監督を務めるアントネッロ・マナコルダを後任に推していた。


マナコルダの音楽は新鮮で、斬新。長期政権となったバレンボイム時代から革新するには、適任だと思った。しかしマナコルダでは、知名度がまだ低いのが最大の欠点だった。


順調にいけば、ティーレマンだろうとは思っていた。その通りの結果になったということだ。ベルリン州の再選挙で保守的な政権に変わったことで、保守色の強いティーレマンが音楽監督になるのは確実になっていた。


ただティーレマンでは、レパートリーがドイツ音楽に限定されるのも事実。それでは、オペラハウス全体のバランスと特徴を考えて選曲していかなければならないオペラハウスの音楽監督としては適さない。


その上権威主義的なところがあり、これまでもオーケストラと一緒に成長して、オーケストラを育てていくことができなかったという問題があった。


まあ、音楽の質を高め、オペラハウスとしてより特徴を持たせるよりも、知名度という華やかさを優先させた結果なのだろう。ティーレマンを選任したことは、これまで通りであればいいという意思表示でもある。これまで通りのことをしていては、レベルが下がっていくことも意味するのだがなあ。


ティーレマンは、もう60歳半ばの指揮者。しかし正直いって、音楽にまだ熟成度が感じられない。それはまた、人間的な魅力が出てきていないことでもある。それでは、オーケストラを引きつけることはできない。


実際、国立オペラのオーケストラ楽団員の中には、ティーレマンが音楽監督になるのに反対していた楽団員も結構いたといわれる。


ただベルリンフィルと違い、国立オペラのオーケストラ楽団員に音楽監督を選ぶ権限はない。楽団員の中でも、ベルリン州の政権が保守的な政権に交代すれば、ティーレマンが就任するのは確実だろうと諦めの声も聞かれた。


これまでティーレマンはベルリン・ドイツオペラやミュンヒェンフィル、ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭、ドレスデン・シュターツカペレの音楽監督や芸術監督に就任してきた。就任時は、たいへん大きな期待を持って受け入れられてきた。


しかし数年経つと期待を裏切られ、オーケストラと指揮者の間に亀裂ができたりしていた。その結果、再出発するために、契約が更新されないままで終わるという結末を繰り返してきた。


ぼくは今回も、そうだろうと思っている。何年契約になるのかはまだ聞いていないが、10年持てばいいのではないかと思う。


まあそれまで、がまんするしかない。がまん。がまん。


(2023年9月28日、まさお)
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ベルリン国立オペラ - バレンボイムの後任独断論
関連サイト:
ベルリン国立オペラのサイト(ドイツ語)
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