2022年1月03日掲載 − HOME − ぶらぼー! − オーケストラ
コロナ禍でコンサートにいく苦労

ドイツはまだ、デルタ株による感染が収まらない。感染者数は毎日、5桁となっている。死者数も毎日、数百人を数える。


そのためベルリンでは今、コンサートやオペラ公演にいけるのは、ワクチン接種を2回終えたか、コロナ回復者だけに限定されている。さらに、公演終了時間から24時間以内前に抗原検査をして、その陰性証明を提示する必要もある。


会場の入り口で、ワクチン証明ないし回復者証明と、陰性証明がしっかりとチェックされる。


ぼくはこの元旦、ベルリン国立オペラでシュターツカペレ・ベルリンのコンサートにいくことにしていた。演奏されるのは、リヒァルト・シュトラウスの⟪最後の4つの歌⟫と⟪英雄の生涯⟫。アンドレス・オロスコ・エストラーダ指揮、エルザ・ドライシヒ歌のプログラムだった。


大晦日のコンサートと同じプログラム。例年だと、音楽監督のバレンボイムがベートーヴェンの第9を指揮する。だが新年はバレンボイムがヴィーンで、ニューイヤーコンサートを指揮するので、こういうプログラムとなった。


このコンサートにいくことを決めたのは、ほぼ直前だった。


クリスマスの12月26日、友人から急に当日のベルリン国立オペラの⟪ラ・ボエーム⟫のチケットがあるけどいかないかと電話があり、慌てていった。


もう20年近くも前の演出で、ほとんど演出されていないような演出だった。だがその時のシュターツカペレの音が、泣きに泣いてすばらしい。ジーンとくる。ムゼッタ役のドライシヒもとてもよかった。もう一度聞いてみたいなあと思った。


その翌々日の28日、ベルリン国立オペラから2月末までの公演チケットをオンラインで購入すれば、すべて2割引にするというメールがくる。それならと、すぐに元旦のコンサートの一番安いチケットを買った。


ベルリンではちょうど28日から、コンサートとオペラ公演に入るには、ワクチン接種ないしコロナ回復証明だけではだめで、抗原検査による陰性証明も必要になる。コロナ対策強化に伴う客離れを防ぐため、割引措置をとったのだと見られる。


文化公演もコロナ禍で、たいへんなんだなあと思った。それならサポートする意味もあるし、元旦のコンサートに行こうと思った。それ以外にも、2月末までの公演で関心のあるオペラ公演のチケットを購入した。


当日は元旦。抗原検査をしてもらうところも限られている。どの検査場が国立オペラから近くて便利かを調べ、候補地をいくつか頭に入れておいた。


念の為、ちょっと早めに出かける。しかし、検査場はどこも長蛇の列。仕方がないので、国立オペラから一番近いと思われる検査場で順番を待つしかないと思った。でもかなりの長蛇の列。もう開演時間に間に合わないだろうなと思った。


30分ほど待って検査を終え、すぐに国立オペラに向かう。検査結果は、メールで送信されてくることになっている。メールは、スマホで受信できる。国立オペラに先にいって、検査結果がきたら陰性証明を見せればいい。


入り口前では陰性証明が来る前に、ワクチン接種証明を見せ、チケットも提示しておいた。


ところが、抗原検査陰性証明がいつまで経ってもこない。連れ合いの陰性証明はすぐにきたのに、どうしてぼくの陰性証明がこないのか。連れ合いを先に入らせ、ぼくは入り口前で陰性証明を待った。


でも、いつまで経ってもこない。ぼくはもう陰性証明はこないと、諦めるしかなかった。


コロナ禍なので公演がはじまっても、チケットを返却することができる。窓口にいって、返金してもらうことにした。


窓口で事情を説明すると、昨晩も陰性証明のメールが届かなかった客がいたといわれる。チケットの返却による返金が多くて、もう現金がないとも説明された。返金額を記入したチェックしか出せないという。


ぼくは、それでいいといった。窓口ではコロナ禍で、いろいろたいへんになっているともグチをこぼされた。


こういうご時世だから、仕方がない。でもコロナ禍だからといって、文化が崩壊してはならない。ぼくは今回に懲りず、コロナに負けずに、コンサートやオペラの公演にはできるだけいこうと思っている。


ただ抗原検査は、その日の午前中にしてもらって、陰性証明をもらっておいたほうがいい。いい勉強になった。


(2022年1月03日)
記事一覧へ
関連記事:
カムプラの⟪イドメネ⟫
壁とともに生きた指揮者人生
コンサートマスターに聞く。ローター・シュトラウス(シュターツカペレ・ベルリン)
関連サイト:
ベルリン国立オペラのサイト
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ