今後の歴史的資料としても大変貴重な一冊
ふくもとさんが書いてくださった東ドイツ時代の様子や、東ドイツ出身の方たちの生き生きとした証言、大変興味深く拝読しました。
読書体験としても濃密なものとなりましたし、今後の歴史的資料としても大変貴重な一冊だと感じました。改めて素晴らしい書籍を書いて頂き、ありがとうございました。
私としては、特にふくもとさんが指摘される東ドイツが持っていた豊かさ、「人々の助け合い」や、「社会的なゆとり」が特に印象に残っています。日本の高度成長時代前の様子を、映画「三丁目の夕日」などで見ましたが、その様子と共通するものを感じました。
そして、東ドイツでは、保育園、幼稚園が完備されていた話も興味深かったです。2023年に私たち家族がザールラント州に引っ越してきて、子どもたちが幼稚園に入れず、待機児童の問題にぶち当たって大変苦労しました。
移民や難民の子どもたちが保育園、幼稚園に押し寄せているのが原因だという方と、そもそも保育士の待遇が悪いので人手が足りないという話を両方聞いています。ミュンヘンやベルリンではなく、ザールラント州という地方でも、保育園の空きがないというのが信じられなかったです。
また「リサイクル社会の後退」の話も大変印象に残りました。ふくもとさんが、日本のエコバッグの概念に驚かれた話なども面白かったです。東ドイツでは、資源が限られたものだからこそ、それを大事に使いまわす文化が育まれたのですね。
話は前後しますが、シュタージ本部の選挙、秘密情報文書の保管と公開のイニシアティブが起こっていたことをはじめて知りました。幻の、新民主国家憲法があったことも、驚きでした。
ベルリンのシュタージ博物館をぜひ近々訪れてみたいと思いました。
そして第四章の極右かと市民の勇気に関しても、大変感銘を受けました。
ドレスデン空襲については、知識としては知っていたものの、実際に体験した方の証言やその後について知れたのがとても貴重でした。
そして、その後、平和式典がネオナチなどの極右勢力のデモの場になったことに驚きました。
ふくもとさんの本を読んでいて、改めて今週末の選挙のことが気になりました。
Afdなどの極右政党と、ネオナチはどのようなつながりがあるのでしょうか。
改めて素晴らしい本を世に出していただき、ありがとうございました。
税所篤快 |