電気自動車や燃料電池車は、有害な排ガスを排出しないので、ゼロエミッション車だといわれます。電気自動車は、車に掲載された蓄電池の電気で動きます。燃料電池車は、水素を燃料にして動きます。
電気自動車の電気はもちろんのこと、水素は主に電気分解によって製造しますが、それにはたくさんの電気が必要になります。
では、その電気はどう発電されるのでしょうか。
電気が石炭やウランを燃料として発電されては、自動車を使う前の段階ですでにゼロエミッションとはなっていません。いくら自動車がゼロエミッションだとしても、それではゼロエミッションとはいえません。この点は、明確にしておかなければなりません。
しかし日本では、車だけがゼロエミッションであればいいともいわれます。
日本は、国家戦略として燃料電池車の開発、普及に力を入れています。そのために必要な水素は、国外で製造することが考えられているようです。そこでは、石炭火力で発電し、それによって排出される二酸化炭素をCCS(二酸化炭素回収貯留)技術によって、大気に排出する前に回収して、地下に貯留します。
日本はこの分野で先駆者となり、CCS技術を世界に輸出して国際競争力を高める戦略です。でもそれでは、二酸化炭素が地下に留まったままとなる問題を解決していません。ゼロエミッションではないといわなければなりません。
ゼロエミッションを成立させるには、前回述べたように再生可能エネルギーで発電された電気を車の蓄電池に蓄えるか、その電気で水素を製造して燃料電池車に使う以外にはありません。
そのことを、はっきり知ってもらいたいと思います。
(2018年9月05日)
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