2018年12月12日掲載 − 再エネいろは
FIT制度がなくなると、再エネは安くなるのか?
再生可能エネルギーQ&A

再生可能エネルギーで発電された電気の固定価格買取制度(FIT)がなくなると、電気料金は安くなります。


FIT制度は、再生可能エネルギーを普及させることを目的にしています。そのため、普及の状況に応じて改正していく必要があります。そうしないと、実際の発電コストと買取価格の差が開きすぎ、市場がバブル化する危険があります。


ドイツでは現在、FIT制度における買取価格を入札方式で決める制度を導入しています。それについては、すでに本サイトで報告しました(「ドイツのFIT制度、入札で競争論理を取り入れ(1)」を参照)。それによると、陸上風力発電における電気の買取価格が1kWh当たり3セント代(5円以下)、太陽光発電では6セント代(9円以下)と、かなり下がってきました。


ただ、これまでFIT制度によって発電施設の稼働時点に確定した買取価格は通常、20年間(ドイツの場合)そのまま継続します。ですから、これまでのFIT制度による負担はまだまだ電気料金に重くのしかかります。


逆に、電気の買取価格が下がりすぎると、再生可能エネルギーによる発電施設に投資する意欲が失われます。入札方式導入後に確定している現在のドイツの買取価格では、施設に投資した額が回収できるのかどうか、とても疑問に思います(特に陸上風力の場合)。


そうなると再生可能エネルギーが増えなくなり、再生可能エネルギーに対する投資意欲を刺激するには、何か新しいインセンティブ策が必要になってきます。


また、再生可能エネルギーの割合が増えるにしたがい、送電網の構造も変えていかなければなりません。そのための資金も必要です。


これらのコストも前回述べたように、社会コストと見なすべきです。でも、コストは電気料金に上乗せして回収されることになります。


これらの状況を考えると、FIT制度がなくなっても、電気料金は安定して下がっていっても、そう急激には下がらないと思います。


ただ石炭や石油、ガスの化石燃料の価格が今後さらに高騰していくことが考えられます。その結果、従来の方法で発電された電気の料金は上がっていきます。それに対して、再生可能エネルギーで発電された電気料金は今後、下がっていくばかりです。


それを考えると、グーグルやアップルなど電力消費の多いIT企業が再生可能エネルギーに移行しているのがよくわかります。


(2018年12月12日)

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