前回、再生可能エネルギーには再エネに適した構造が必要だと書きました。そのためには、大手電力も再編されなければならないと。
ただ電力業界が再編されるだけでは、再エネに適した構造にはなりません。そのためには、さらに再エネで発電された電気を送電する送電網も、再エネの分散型構造に適するように整備しなければなりません。
それは、なぜでしょうか。
既存の送電網は、従来の大型設備集中型発電に適するように設置されてきたからです。しかし再エネでは、小さな発電設備が各地にたくさん分散して設置されます。
従来の送電網の構造では、大型発電施設から主要送電線が電力需要の大きい大都市などに向かって配置されています。それでは、分散して設置された再エネ発電施設で発電される電気を効果的に受電して送電できません。
そのため、既存の送電網の構造も再エネが普及するとともに、その構造に適するように整備されなければなりません。
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ドイツでは送電網の整備が進められているが。。。 |
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日本では特に九州で、夏になると太陽光発電で発電された電気が多くなって、太陽光発電が出力抑制されます。これは、太陽光発電施設で発電された電気が多すぎで、送電網にそれを送電するだけの容量がなくなるからです。その結果、送電網において電気の需要と供給のバランスが崩れ、送電網がシャットダウン(送電停止)する危険が発生します。それを防ぐため、太陽光発電施設を送電網から切り離します。
この送電網に関する問題に対応するため、ドイツでは発電と送電に関わる関係者が共同で送電網整備計画を作成し、それに基づいて送電網の構造を再編する作業を進めています。送電網整備計画は、その時の状況に応じて定期的に更新されます。
ただ送電網整備計画があっても、ドイツでは送電網の整備がなかなか進みません。それは、送電網を設置するほうが、再エネの発電施設を建設するよりも時間がかかるからです。そのため、送電網の整備が後手に回ります。そうならないように、先手を打って送電網を整備すべきです。ただドイツでも、思うようには進展していません。
また、高圧送電用に高架線を設置することに対して、地元住民が強く反対するという問題も発生しています。
ただ再エネを普及させるには、送電網をそれに適するように整備しなければなりません。そうしないと、安定した電力供給システムとして十分に機能しないことも忘れてはなりません。
(2020年7月15日)
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