再エネいろはの記事「車のゼロエミッションとは?」において、日本が燃料電池車の燃料である水素を製造するために、石炭火力発電とCCS(二酸化炭素回収貯留)技術を組み合わせて、火力発電によって排出される二酸化炭素を分離、回収して、地下に貯留することを計画していると書いた。
ただこれでは、二酸化炭素が地層に貯留されるだけで、二酸化炭素はなくならない。二酸化炭素が将来、大気に放出される危険もあるではないか。
この技術では、二酸化炭素をどれだけ貯留できるのかの疑問が残り、二酸化炭素排出の問題を解決することにはなっていない。
ここで疑問に思うのは、石炭など化石燃料を燃やすことによって排出される二酸化炭素をリサイクルして、何か新しい生成物をつくることができないのかということだ。
植物は光合成において、二酸化炭素を吸収して酸素を排出する。ここでは、水と二酸化炭素から炭素化合物が合成される。それが、植物の成長するメカニズムだ。酸素が排出されるのは、水が水素と酸素に分解されるからだ。
それなら、二酸化炭素と水素を合成させれば、何か新しい生成物ができるのではないか。これは、中学の理科の知識があればわかることではないのか。
理科が苦手だった筆者でも、二酸化炭素と水素の分子記号から、メタン(CH4)やメタノール(CH3OH)くらいできるのではないかと想像できる。
でも、どうしてこういうことを思いつかないのだろうか。不思議でならない。
そこで取材してみたら、ドイツ製鉄大手のティッセンクルップ社が製鉄工場で排出される排ガスを分離して、二酸化炭素をリサイクルする技術(Carbon2Chem)を開発していることがわかった。今年秋に、そのパイロットプラントが稼働するという。
二酸化炭素や水素、窒素などを化学合成させて、メタノールやメタン、アンモニアなどを生成し、そこからさらに動力燃料やプラスチック、肥料などを製造するという。
二酸化炭素が排出されるプラントではどこでも、このプロセスを使って二酸化炭素をリサイクルすることができるようになるという。
(2018年9月08日) |