2019年11月19日掲載 − 脱原発
放射性廃棄物と民主主義

本サイトの「さよなら減思力」において、高齢者の選挙権に年齢制限を設けるかどうかに関する問題から、世代間において民主主義を成り立たせることの難しさについて書いたばかりだ。


この項において前回、ヨーロッパを中心にして世界の放射性廃棄物に関する状況レポートが公開されたことを報告した。その時のワークッショプの席上においても、放射性廃棄物を処分することにおいて世代間でどう民主主義を成り立たせるべきなのかが議論になった。


というのは、放射性廃棄物を最終処分する問題は、今の世代がその手法と場所を決めなければならない。でも、放射性廃棄物を処分するのは、まだ生まれていない後の世代に対してのほうがより大きな影響があると考えられる。


でも今の世代は、今決めることに対して後世世代からそのために意見を聞くほか、同意を得ることはできない。これは、放射性廃棄物の最終処分において最も中心となる課題だ。


つまり、今の世代は後の世代のために、最終処分について決めなければならない。でも、後世世代とは民主的な手続きをとることは不可能なのだ。


岩波書店の雑誌「世界」に、ドイツが住民参加によって高レベル放射性廃棄物の最終処分場を選定することについて投稿したことがある(2017年11月号)。これは、最終処分場を民主的に決める上で、とても重要な手法だと思う。


しかし、最終処分の選定を住民参加で行っても、世代間では民主的に最終処分地を選定することはできない。


この問題に対応するため、放射性廃棄物を地層に処分しても、それを将来、掘り起こして地上に取り出せるようにする可能性を残しておくことになっている。


そうすれば、将来の世代が技術の進歩などを考えて、自分たちで放射性廃棄物をどう処分すべきか再考し、前の世代が決めた最終処分方法を修正できるようになる。


これが、放射性廃棄物の処分に関して世代間で民主主義を成り立たせることのできる多分唯一の方法だろうと、今考えられている。


ドイツは、その可能性を500年後まで残しておく予定だ。


ただここで、今の世代は新しい問題に直面する。


それは、放射性廃棄物を容器に入れて処分しても、その容器は500年も耐久性があるのだろうかという問題だ。今の技術では、まだそういう容器はない。そのためには、500年以上も耐久性のある素材を開発しなければならない。


そうしない限り、地層処分された放射性廃棄物を将来取り出すことはできない。


(2019年11月19日)
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ダウンロード:
The World Nuclear Waste Report 2019 (英語版)
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