これまで放射性放棄物を最終処分することに関し、何を処分するのか、具体的にまとめてきた。
その中に、RI廃棄物がある。医療、産業、研究開発によって排出される放射性廃棄物のことだ。ただ、RI廃棄物についてまったく気にしていなかったり、処分しなければならないと思っていなかった人も多いと思う。
RI廃棄物の量は、原発によって排出される放射性廃棄物に比べると格段に少ない。でも、放射性廃棄物として安全に最終処分されなければならない。
あまり知られていないことなので、RI廃棄物が最終処分されるまでどう管理されるのかについて、ここで簡単にまとめておきたい。
日本では、RI廃棄物の管理が規制されるまでかなりの時間がかかった。現在、その規制もあまり機能していないと聞いている。そのため、今回はドイツではどう管理されているのかを紹介しておきたい。
ドイツは連邦国家なので、放射性廃棄物の管理、保管、輸送の監督は、各州によって行われる。現在、中間貯蔵と最終処分は国の管轄として行われている。つまり、放射性廃棄物が中間貯蔵施設に搬入されるまでの監督は、各州によって行われる。
ただ2年ほど前までは、最終処分だけが国の管轄だった。中間貯蔵は電力など、民間の管轄だった。そのためRI廃棄物については、州毎にRI廃棄物の回収施設が設置されている。そこに、RI廃棄物を発生させた者が持ち込まなければならない。
州は、RI廃棄物が最終処分されるまで、それを安全に保管することを義務つけられる(中間貯蔵)。ただ、中間貯蔵が国の管轄になったことから、今後それを中間貯蔵施設に移設させることも十分に考えられる。
RI廃棄物は、法的に危険物として取り扱われる。それを輸送する場合は、事前に州の管轄当局から認可を得る必要がある。
ただRI廃棄物は、自己申告ベースで汚染度などを届け出る。そのため、不法投棄の可能性を排除できないわけではない。行政側がそれをどう監督するかの問題となる。
脱原発により、原発から排出される放射性廃棄物はいずれなくなる。でも医療や産業、研究界は、依然として放射性物質を使うと思う。RI廃棄物は原発がなくなっても、放射性物質の代替物質が出てこない限り、まだまだ排出される。
(2020年3月03日) |