車はよく、ステータスシンボルだと思われている。豪華な高級車やSUV、スポーツカーを颯爽と乗り回すことで、優越感を抱かせてくれる。
ただ、車のステータスシンボル神話もそう長く続かないのではないかと思う。
若い世代で、車を持つ気はない、使う時に使える車があればいい、と思っている人たちがが増えているからだ。
車があっても、都会では渋滞で移動に時間がかかるし、駐車場を探すのも難しい。
車というよりは、どう快適に移動できるか。若い世代では、それが第一になってきている。この変化が、カーシェアリングビジネスを拡大させている背景にあると思う。
カーシャアリングとは、車を所有せず、車の必要な時に時間単位で車を借りることができるサービス。車を共同でシェアして使うことになる。それによって、車自体の利用率が上がり、車の台数を減らすこともできる。
レンタカーは主に1日単位で、ステーションで借りて、ステーションに返す。それに対してカーシェアリングでは、1時間やもっと短い時間単位で車を借り、どこから使ってもいいし、どこで乗捨てても可能だ。
車検やメンテナンスのことは考えなくていいし、保険もいらない。
その便利さが、若者に受けている。
カーシェアリングビジネスは、GPSの普及で可能になったともいえる。GPSによって車の現在位置がわかるので、簡単に走行時間、走行距離を把握できるからだ。
ドイツでは、レンタカーはもう時代遅れになった。レンタカービジネスが、カーシェアリングに変わっていく傾向も強い。大手自動車メーカも、新しい車の利便性を認識し、カーシェアリングビジネスに進出している。
たとえば、メルセデェスのCar2GoとBMWのDriveNow。こちらは、いずれも乗捨て型。ドイツ鉄道もいち早くカーシェアリングに進出し、Flinksterの名前でステーション型サービスを展開している。
ただすでに競争が激化し、Car2GoとDriveNowが合併、ShareNowとなった。
カーシャアリングでは、車を長距離乗るわけではない。都会で短い距離を利用するサービスが中心。1回の充電による走行距離に問題のある電気自動車でも問題ない。だから今、カーシェアリングが電気自動車を普及させる一つの大きなインパクトになってもいる。
たとえば、独自動車大手フォルスクヴァーゲンは自社電気自動車1500 e-Golfだけを使って、電気自動車によるカーシャアリングビジネスを行っている。
田舎ではまだ自家用車が重要な足だが、カーシャアリングビジネスは、都会においては重要な移動手段として若者中心に受け入れられるようになった。
それに伴い、若い世代では車がステータスシンボルではなく、単なる移動手段の一つという意識が強くなってきている。
(2020年2月22日)
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