2020年12月12日掲載 − 再生可能エネルギー
EU、温室効果ガス削減目標を引き上げ


欧州連合(EU)の加盟国首脳会議は2020年12月10日から11日にかけて夜通し審議を行い、2030年までに温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出を1990年比で最低55%引き下げることで合意した。これまでEUの2030年までの目標は、40%だった。


EU委員会は3カ月前、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現するには、2030年までの中間排出削減目標を40%から55%に引き上げる必要があると提案していた。


ただ、石炭火力発電への依存度の高いポーランドなどの東欧諸国加盟国が目標引き上げに反対。首脳会議では、目標実現に莫大な資金援助を求めた模様だ。それに対して今回、首脳会議の議長国であるドイツのメルケル首相などが時間をかけて説得したと見られる。


55%への引き上げはEU全体に対するもので、今後EU委員会がそれをベースに来年2021年夏までに各国と各セクター毎に削減目標を提案する予定だ。


ただ今回の目標引き上げでは、植林した分を排出削減として加算できるようにするなど、これまでそれのできなかった政策を緩和した形になった。


今回の決議では、ガスを利用することがカーボンニュートラルを実現するまでの過渡的な技術として認められた。それに加え、フランスや東欧諸国は温室効果ガスの排出削減で原子力発電を利用したい意向だ。だか今回の決議では、それは否定も肯定もされず、先送りした形となった。


環境政策の強化を求める欧州議会はこれまで、2030年までの65%削減を求めてきた。首脳会議の決議は今後、欧州議会の同意も得なければならない。だが欧州議会は、今回の引き上げに同意する可能性が高いと見られる。


今日2020年12月12日は、パリ協定が採択されて5年となる記念すべき日。パリ協定は、産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度未満に抑える内容となっている。だが上昇分を、1.5度未満とすることを目指すとしている。


今回の排出削減引き上げ決定でパリ協定の内容を実現できるかとなると、そうではない。ドイツグリーピースのカイザー事務局長や若者たちのFridays for Futureのグループは、今回の引き上げ程度では不十分だとしている。


(2020年12月12日)
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