カーボンニュートラルをどう実現するか?

 ドイツ政府は、2050年までに二酸化炭素の排出を樹木が吸収できる程度に削減して二酸化炭素の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現することを目標としています。

 その少し後になって、日本の菅首相も同じように、2050年までにカーボンニュートラルを実現すると発言。突然なことで、ぼくはかなりびっくりしました。日本にそのための戦略があるのかどうかが、とても気になります。これまで、何も準備がされていないからです。

 ドイツでは、環境シンクタンクのアゴーラやカーボンニュートラル財団が共同で、ドイツが2050年までにカーボンニュートラルを実現するための戦略を提言しています。

 それによると、まず第一段階として、2030年までに二酸化炭素など温室効果ガスの排出を1990年比で65%削減します。2030年までの65%削減は、ドイツ政府がすでに欧州連合(EU)に約束した数値目標です。

 第二段階の2030年以降は、徹底してカーボンニュートラル技術に投資して、温室効果ガスを1990年比で95%削減するとしています。残りの5%は、二酸化炭素回収貯留技術(CCS)によって、二酸化炭素を排出しないようにするしかないとします。これは、セメント産業など二酸化炭素の排出を技術的に回避できない分野があるからです。

 これは、決して楽な道のりではありません。でも戦略を提言した環境シンクタンクらは、経済的にも、技術的にも可能な課題で、むしろ社会を新しくするチャンスだとしています。

 カーボンニュートラル化のために必要な投資によって、再生可能エネルギーで発電した電力を中心とした電力社会に転換します。建物や都市をスマート化し、産業は水素をベースに切り替えます。もちろん、水素も再エネで発電された電力で製造されなければなりません。

 それとともに、大気汚染の少ない、騒音も少ない社会が実現されます。

 大気汚染が少なくなるのは、化石燃料を使わずに、再エネをエネルギーの主流にするからです。騒音が少なくなるのは、内燃機関を利用する自動車が電気自動車に切り替わるので、エンジンによる騒音がなくなるからです。

 カーボンニュートラル化を実現するには、発電と重工業をグリーン化するだけでは不十分です。交通改革によって、交通のグリーン化を実現しなければなりません。

 そこで重要になるのが、電気自動車化とともに、人々の移動を自動車から公共交通主体に切り替えることです。それによって、自動車の台数を大幅に削減します。さらに都市において、自動車中心の都市から、自転車と歩行者にやさしい都市造りに切り替えることも大切になります。

 それとともに、都市において騒音が軽減されます。都市の生活の質が向上します。

2020年12月02日、まさお

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関連サイト:
アゴーラなど環境シンクタンクが共同で作成したドイツがカーボンニュートラル化するための戦略案ダウンロード(ドイツ語)

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