以前、石炭炭鉱向けに重機を製造しているドイツの鋳造メーカが、風力発電の風車のギアの製造に切り替えていることについて書いたことがある。
これは、化石燃料から再生可能エネルギーに転換されていく中、ものつくりも替わっていかなければならないことを象徴している。
そんな中、ドイツではドイツの総合メーカ「ジーメンス社」がオーストラリアの石炭炭鉱向けに制御装置などを納入することが問題となっている。オーストラリアでは、石炭産業が主要産業。でも長期に渡る森林の家事は、気候変動の影響だとされる。
その渦中で、ドイツのトップ企業がオーストラリアの石炭産業に加担することが疑問視されている。ドイツの若者たちのグループ「Fridays fo Future」は、納入中止を求め、抗議デモを続けている。
先日あったジーメンス社の株主総会においても、若者たちは総会会場の前に陣取って抗議をした。
ジーメンス側は、一旦決まった契約を破棄するのは会社の信用に関わる問題としている。だがドイツの若者たちは、企業モラルとして許せないとして反発する。
ジーメンス社首脳と若者たちの話し合いは、物別れに終わった。
ジーメンス社は一方で、企業として抜本的なリストラも求められている。そのため、将来需要の少なくなる大型発電所部門を分割する。本体をデジタル化ビジネスを主体にし、その他の部門を切り捨てて身軽になる予定だ。
大型発電所部門は分割後、株式市場に上場させるという。実質的には、採算性のなくなる大型発電所部門を将来に備えて「バッドバンク」化することだと思う。まずは、その延命資金を株式市場で獲得しようという魂胆だ。
従来の技術を専門とする企業は、リストラしなければ今後生存できなくなるのは明らかだ。それをどういう方向に、どう加速させるかは、今後の世界共通の重要な課題だ。
気候変動問題が重大になるに伴い、投資資金の流れが大きく換わるのは間違いない。
投資家は今後、環境にやさしい企業体へより多くの資金を投資していくことが予想される。それが、環境に対する企業モラルを高めるインセンティブにもなるはずだ。
そうなれば、企業は企業戦略を環境に重点を置かなければならなくなる。
(2020年2月08日)
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