エネルギー選択宣言ブログ

過去最大の環境デモ

 2019年9月20日に行われた気候危機を訴えるストライキデモには、ドイツ全体で140万人が参加したといわれます。デモ会場には、幼稚園児から小学学生をはじめとして、大学生や大人、老人までと、いろいろな層から一般市民が集まりました。

 ドイツ最大の環境団体BUNDのヴァイガー会長は、デモの後の9月23日に行われた政府の気候変動対策基本案に抗議する環境団体の記者会見で、「これまで(ドイツにおいて)、環境デモにこれほどたくさんの人が集まったことはない」と話しました。

気候変動への対策を求めてベルリンのデモに参加するこどもたち

 一般市民は気候変動に対して、強い危機感を抱いているのだと思います。政府に、何とか早急な対策を講じてほしいと訴えたのでした。

 デモは、毎週金曜日に気候変動警告デモをしている若者たちのFriday for Futureを中心に行われました。その若者たちを大人が支援する形で行われました。

 20日のデモは、金曜日のお昼からでした。学校の生徒や大学生は、授業をさぼります。職業人も仕事をさぼるか、休暇を取らなければ、デモには参加できません。

 そのため、自治体や民間企業の中には、職場を離れてデモに参加してもいいと認めたところが結構ありました。

 こうして、たくさんの人がデモに集まったわけです。これは、社会の中心にいる市民がデモに参加した証だと思います。そうでなければ、これほどの人は集まらなかったと思います。

 でも、政府が決定した内容は満足のいくものではありません。環境団体は、「今すぐにやらなければならないことの3分の1も対策が講じられていない」と批判します。

 気候変動の問題では、早く策を講じれば講じるほど、最終的に安いものになります。策を後回しにすればするほど、後でどうしようもなくなって、急に過激な策をとらなければならなくなります。

 それでは、市民がついていけません。だから、早く策を講じなければなりません。kの問題について具体的には、今後、ベルリン@対話工房のサイトで順次指摘していきます。

 今何もしないことは、結局、問題を後回しにするだけです。

 メルケル首相は9月20日の記者会見で、「これ以上のことは無理だった」と発言しました。これは、こう以上妥協するのは無理だったということです。特に保守政治家が、できるだけ改革を先送りにすることに固執したと見られます。

 また、右翼が温暖化はない、温暖化は人間が起こしたものではないと主張して、市民の賛同を得ようとしています。保守にとっては、気候変動対策によって保守票が右翼にとられるのも恐いのです。

 でもそのツケは、後の世代が負うことになります。大人がもう生きていない時代のことまでは責任を持てないと、責任逃れをしてはなりません。

 ドイツがいくら気候変動対策を講じても、ドイツの影響は世界全体の数パーセントにすぎない。だから、ドイツ国内で何をやっても意味がないという議論もあります。

 それは、違います。

 今、世界で気候変動問題に対策を講じることのできる国は、財政的にも、技術的にも、一部の先進国だけしかありません。だから、まずできる国からはじめていかなければならないのです。

 そして、それのできる国の一つがドイツなのです。日本も、気候変動に本気で取り組まなければならない国の一つに数えられます。日本でも政治と社会に、はっきりとそのことを自覚してもらいたいと思います。

2019年9月23日、まさお

関連記事:
独政府、気候保護法の基本内容を閣議決定

この記事をシェア、ブックマークする

 Leave a Comment

All input areas are required. Your e-mail address will not be made public.

Please check the contents before sending.