2021年7月21日掲載 − 脱原発
原発を再稼動したくても中間貯蔵施設がない

日本の経済産業省/資源エネルギー庁は2021年7月21日、第6次エネルギー基本計画の素案を公表した。これは、2050年を見据えて2030年に向けた政府のエネルギー政策を策定するものだ。


第6次素案で注目されるのは、2030年度の電源構成目標として、再生エネの比率を36-38%とし、原発の比率はこれまで通り、20-22%としていることだ。さらに、燃焼させても二酸化炭素を排出しない水素やアンモニア発電を1%付け加え、これらを「脱炭素電源」だとして、その比率を59%に引き上げるという。


原発と水素/アンモニア発電を脱炭素電源とするかどうかは、議論しなければならない。原発と再生エネの関係の問題についても、これまで何回も指摘してきた。エネルギー基本計画については、それ以外にもいろいろ議論する問題があるが、ここでは原発の問題だけに絞って検証してみたい。


原発の比率20-22%は、福島第原発事故後停止されたままになっている原子炉を再稼動しなければ、実現できない。たとえ社会が新しい原子炉の建設を容認し、計画を今からはじめても、新しい原子炉は2030年には完成していない。原発の比率を20-22%を実現するには、建設中も含めた既存の原子炉36基に依存しなければならない。


今年2021年6月23日、運転開始から40年を超える美浜原発3号機が再稼動した。日本では現在、原子炉の運転期間は40年を前提として、運転期間を60年まで延長できる。すでに4基が、運転期間延長の認可を受けた。


すでに認可された4基を除き、残りの32基をすべて稼動年数40年で停止したとすると、2050年時点で動いている原子炉は3基しかないという。ということは、2050年を見据えた日本のエネルギー政策は、老朽原発の再稼動に依存している。


そうなると、2つのことが大きな問題になると思う。一つは、日本に使用済み燃料の中間貯蔵施設がないこと。もう一つは、老朽原発の安全性だ。そこで今回はまず、中間貯蔵施設の問題について述べておきたい。


日本の既存原発では、使用済み核燃料が原発の貯蔵プールで保管されている。しかし貯蔵プールは、どこもかなり満杯になっている。新たに発生する使用済み核燃料のためのスペースを貯蔵プールに空けるため、古い使用済み核燃料を貯蔵プールから取り出して、どこかに中間貯蔵しなければならない。さもないと、原子炉では核燃料を交換できず、原子炉を稼動することができない。原子炉から取り出した核燃料はまず、貯蔵プールで冷却しなければならないからだ。


この問題は、福島第一原発事故前から問題になっていた。でも事故後にすべての原子炉が停止されたことで、問題が隠れてしまった。今後、事故後に停止された原子炉が再稼動されると、使用済み核燃料をどうするかが、より大きな問題となる。


原子力規制委員会は福一事故後、使用済み核燃料を乾式で中間貯蔵すべきだとしていた。福一事故でもわかるるように、日本のような地震国において使用済み核燃料を貯蔵プールに長く保管しておくのは危険だ。しかし日本では、乾式中間貯蔵が進まない。青森県むつ市で完成していた乾式中間貯蔵施設でさえ、いろいろ問題があって計画通りには運転できていない。それ以外に日本には、乾式の中間貯蔵施設はない。福一事故後に、この問題を解決するための政策が立案されなければならなかったが、その形跡もない。


福一原発事故によって発生した汚染土は、低レベル放射性廃棄物だ。その汚染土は2030年まで、福島県内で中間貯蔵される。だがそれ以降は、県外で中間貯蔵施される。でも県外の中間貯蔵施設は、未だに候補地さえ見つかっていない。その状況で、高レベル放射性廃棄物である使用済み核燃料を中間貯蔵する場所が、そう簡単に見つかるとは思えない。


既存原子炉に依存するエネルギー基本計画は、こうした問題を真剣に考えたのだろうか。何も先のことを考えないで、数字だけを並べた場当たり的な政策としか思えない。


(2021年7月21日)
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関連サイト:
第6次エネルギー基本計画(素案)の概要(経済産業省/資源エネルギー庁)
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