ぼくはこれまで何回か、都市の起点駅をハブ化して、そこから自転車や自動車、電動キックボードなどを借りて、あるいは乗合タクシーを利用して、移動する新しい交通システムがはじまっていると書いたことがある。
これは、自転車や自動車をシェアして利用しようとする試みでもある。同時に、都市の公共交通を拡大して、自動車の少ない都市を目指して、都市をシェアリンングシティ化しようということでもある。
エネルギー転換において必要となる交通改革の一つだともいえる。
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ベルリン・ノレンドルフ広場駅前にあるイェルビィステーション |
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たとえばベルリンでは、ベルリンの都市交通公社BVGが「イェルビィ(Jelbi)」というシェアリングサービスを行なっている。
カーシェアリング、電動キックボードのレンタル、(電気)自転車のレンタルなどを行うパートナー企業と提携して、交通公社の起点駅にイェルビィステーションを設置している。
サービスを利用するには、スマートフォンなどの端末にアプリを入れる必要がある。
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カーシェアリング、電動キックボード、電気自転車、自転車などのステーションとなっている |
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シェアリングサービスでは、自動車や自転車、電動キックボードなどが路上や歩道に放置されることが多い。そのため、これらの移動機器が交通の安全や歩行者の安全を脅かす存在にもなっている。
イェルビィでは、こうした問題を解決するため、イェルビィステーションをこれらシャアリングサービスの拠点ともすることで、移動機器の放置をできるだけ減少させることも意図されている。
ただ実際には、特に電動キックボードの放置は減るどころか、利用者の増大で放置されたままになっているケースが増えている。電動キックボードは、目の見えない人など障害者にとっては、とても危険な存在にもなっている。
電動キックボードは、歩道での走行が禁止されている。しかし利用者の多くは、それを無視して歩道を走っていることが多い。さらに、市内を流れる川や運河などにも投げ捨てられ、回収されままになっている。
電動キックボードは当初、都市の移動をグリーン化するとも期待された。しかし、グリーン化の効果はない。むしろ逆に、都市のお荷物になっているのが現状だ。
(2021年11月20日)
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