2021年12月18日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
短距離航空便締め出しへ

ベルリン新空港が9カ月遅れで開港して1年余り。ベルリン中心から公共交通機関を使うと、空港まで1時間近くかかる。それで気づくのは、それだったらドイツ国内は航空便を使う必要はないということ。


ドイツ南部のミュンヒェンでさえ、ベルリンからスプリンターという一番早い高速列車を使うと、4時間でいける。それなら、飛行機でいくより便利。ベルリンから5時間以上かかる大都市は、南西部のシュツットガルトくらいだ。


ドイツ鉄道は今後、大都市間の高速鉄道を1時間間隔で走らせる計画だ。そうして、国内を移動する乗客を飛行機から鉄道に引きつける。


ドイツ鉄道は夜行列車から撤退し、その多くをオーストリア鉄道に引き渡してしまった。ところが最近になり、気候変動問題が注目されるにつれて、夜行列車への関心が高まる傾向も見られる。ドイツ鉄道管内ではこの2021年12月の冬季運行表から、他社の運行で夜行列車が2往復増えている。


欧州連合(EU)は2030年までに、温室効果ガスの排出を1990年比で55%削減する計画だ。そのための措置の一つに、ヨーロッパ大陸における高速鉄道網とそのサービスの整備、拡充をあげる。そうして大陸内の航空便の利用者を少なくし、客足を鉄道に引きつける目論みだ。


欧州委員会はそのための措置として、鉄道国際線において付加価値税をすべて撤廃して、運賃を引き下げる計画だ。さらに鉄道が飛行機よりも環境にやさしいことを配慮して、鉄道運賃の引き上げを求める意向だ。


大陸内での高速鉄道による移動時間を短縮するため、2030年から高速鉄道の最低平均時速を160キロメートルに規定することも予定している。


国際線鉄道の標準言語として英語のアナウンスを義務つけることで、こどばのバリアを排除して、乗客サービスを整備するともする。


鉄道の国際線では今、乗車券をオンラインで購入する場合、目的地まで通しで買うのがほとんど不可能な状況だ。そのため駅の窓口までいかないと、国際線の乗車券を通しで買うことはできない。


この問題を解消するため、国際線乗車線をオンラインで通しで買える専用プラットフォームが開設される。また大型空港には、長距離列車の停車する駅を併設することも各加盟国に義務つけるという。


これはまだ、欧州委員会の計画案にすぎない。今後その提案は、各加盟国によって検討される。最終的には加盟国首脳会議で決議され、さらに欧州議会で決議されなければならない。


通常だと、それまでに数年かかる見込みだ。そのため欧州委員会の案が実現されるのは、早くとも2024年になると見られる。


(2021年12月18日)
記事一覧へ
関連記事:
全国鉄道無料キャンペーンに70万人
ドイツで全国鉄道無料キャンペーン
線路にソーラーパネルを設置
関連リンク:
ヨーロッパ大陸内の夜行列車情報サイトNachtzug-Urlaub(ドイツ語)
Interrail/Eurorailの夜行列車情報(ドイツ語)
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ