2025年12月10日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
最終処分候補地選定結果を国の機関と地元住民で二重チェックする

ドイツの核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分候補地の選定作業は、国営企業のドイツ最終処分機構(BGE)に委託されている。BGEはその後、最終処分場の建設と運用も行う。


BGEの作業を監督、管理し、BGEの作業と選定結果が合法的、科学的にも適切なものであることを審査するのがドイツ環境省下の国の機関ドイツ放射性廃棄物処分安全庁(BASE)だ。


BGEは2020年、文献調査などからドイツ全土で最終処分地の候補となりうる地域をドイツ全土の54%に絞り込んだ。


現在その中から、ボーリングなどの地上調査を行う候補地域を最高10カ所に絞り込む作業が行われている。ドイツ全土54%の地域をまず最終処分に「適さない」(適正D)と、「あまり適さない」(適正C)に分類して除外する。その後残ったものを、「それなりに適する」(適正B)と、「適する」(適正A)に分類し、Aに選出された地域から、地上調査を行う地域が提案される。


その結果は、2027年末までに発表される。そこまでが、最終処分地選定法が規定する第1段階の選定作業となる。


その間、BGEの作業を監督するBASEは何もしないのか。


そんなことはない。BASEはすでに、適正がCないしDと判定されて候補地域から除外された判断が正しかったかどうかの審査を続けている。


選定作業においては、定期的にBGEの作業の進捗状況について情報交換するほか、最終処分候補地選定に関して提出される報告者の書式に関して打ち合わせを続けている。こうした事前の情報交換、打ち合わせは、これまで実施された専門会議や最終処分地選定フォーラムを企画、準備する市民の要望によって実現した。


ただし今の段階で、地上調査される候補地域の選択に関してBASEが事前に法的な要望、指示を出すことはない。しかし今後、最終処分地選定法が改正され、最終処分候補地の選定を加速することが規定される。そのためには、現行の最終処分地選定法が地上調査する候補地を最高10カ所と規定しているが、BASEは6カ所が適切ではないかと提案している。


2027年末に地上調査する候補地域がBGEによって提案される。その時には、その結果について論述する調査資料報告書も提示される。


調査資料報告書が提出されると、BASEは監督官庁として報告書を審査し、欠陥、疑問の余地があるところの修正を要請する。


ここで、「欠陥や疑問の余地」とは何かだ。


それは、最終処分地選定法とその関連法規の規定に沿っているか、さらに科学の知見に沿って判断されているかで判断される。そうでない場合は、修正が要請される。


ここでチェックする重要なポイントになるのは、適地選定段階で行われなければならない環境アセスメント(環境影響評価)である戦略的環境アセスメント(SEA)だ。その法的基盤は、EU(欧州連合)の戦略的環境アセスメント指令(2001/42 EC)となる。


ドイツの最終処分候補地選定作業は、これからどう進むのか」の記事で、地上調査候補地提案後に開催される地域会議において、BGEの調査資料報告書に対して欠陥、疑義があると認められる場合、市民で構成される地域会議は、BASEに再審査を申請することができると書いた。この再審査申請もBASEによって審査され、それが正当と認められると、BGEは当該資料を修正しなければならない。


こうした手続を経て、BGEが提案した地域に関する調査資料報告書が欠陥のない、疑問の余地もないものにされる。


地上調査後に提案される地下調査候補地域と、地下調査後に提案される最終処分候補地についても、同じ手続方法が適用される。


この手続によって、最終処分候補地の選定結果が、国の監督機関と地元住民によって二重チェックされるともいえる。それと同時に、この手続きは地元住民のアクセプタンスを得るための重要な手法だといえる。


ドイツ連邦議会(下院)は、BGEの報告書に欠陥、疑義がないと判断されない限り、地上調査、地下調査を行う地域と最終処分候補地を決議しない。


(2025年12月10日)

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関連資料:
ドイツ放射性廃棄物処分安全庁(BASE)の公式サイト(ドイツ語)
ドイツ最終処分機構(BGE)の公式サイトドイツ語)
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