電気で暖房するフランスでは、寒波になると電力不足で電力をドイツから輸入すると書きましたました。ドイツでは電気で熱をつくる割合が少ないので、同じようなことはドイツでは起こりません。
ドイツの冬は、連日零下となるなど寒い日が続きます。しかしドイツでは、室内の暖房がしっかりしているので、冬は日本にいるほうが寒く感じます。日本の寒さは本来それほど厳しくないのに、冬の生活温度が低いからです。
生活温度は、暖房するエネルギーをどう使うかに大きく依存します。日本の多くの家庭では、こたつや電気ストーブ、石油ストーブなどが暖房の手段です。これは家全体を暖房するのではなく、暖房器のある場所だけを局所暖房するものです。
それに対して、ドイツでは家中を暖房します。昔は石炭などで部屋毎に暖房していました。しかし、今はガスのセントラルヒーティングや発電所から供給される地域暖房熱源で一軒家や集合住宅の建物全体を暖房します。給湯も、ガスのセントラルヒーティングないし地域暖房熱源などで行います。
地域暖房熱源は、居住している場所の近くに発電所があるから効率よく供給できます。自治体所有の都市電力公社が供給します。ここでは主に、電力と熱を併行して供給できるコジェネレーションシステムが使われます。
ドイツのエネルギー消費の約35%が暖房と給湯に使われ、二酸化炭素の総排出量の約40%がそのために排出されています。
熱供給による二酸化炭素の排出を削減するため、ドイツではすでに、熱を再生可能エネルギーでグリーン熱化する手法も考えられています。たとえばグリーン電力を販売しているリヒトブリック(Lichtblick)社は、自動車メーカー、フォルクスヴァーゲン社のエンジンを利用した小型のコジェレーションシステムを開発しました。主に集合住宅に設置します。ガスで自動車のエンジンを動かして発電し、その廃熱を暖房と給湯に使います。まだ、天然ガスを燃料にしています。ガスが再生可能エネルギー化されると、グリーン電力、グリーン熱になります。
同社がドイツ各地に設置した分散型コジェレーションシステムは、本社のあるハンブルクの中央監視室から遠隔制御され、電力と熱の供給が最適化されます。こうして、電力・熱供給システムのデジタル化も進めています。
(2017年3月24日掲載)
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