2017年3月30日掲載 − HOME − エネルギー選択宣言一覧 − 6章記事
農業はエネルギーをたくさん消費する

食料品を生産する農業は、農産物を生産するため、電気や熱、動力燃料などたくさんのエネルギーを消費します。温室栽培では、暖房も必要です。農産物を収穫するため、トラクターなどに使う動力燃料も必要です。必要に応じ、農産物を乾燥しなければなりません。それに加えて、肥料や飼料の生産、農機の製造、食料品の輸送などにもたくさんのエネルギーが使われます。全世界の人たちが食べる食料品の量を考えると、エネルギーはすごい消費量になります。


ドイツの政治教育機関が試算したところでは、平均的な一般家庭は食生活によって年間約4.4トンの温室効果ガスを排出します。この量は、平均的な一般家庭が排出する温室効果ガス全体の16%に相当します。この割合は、平均的な一般家庭が交通手段を利用することによって排出する温室効果ガスの割合とほとんど変わりません。


ぼくたちは暮らしの中で、食生活と移動に同じくらいのエネルギーを使っていることになります。食料品を食べているだけでは感じませんが、食生活のためにいかにたくさんのエネルギーが消費されているかがわかります。


食料品の中でも、野菜やくだものよりも肉などの動物性食品の生産により多くのエネルギーが消費されます。野菜やくだものにしても、温室栽培されたものは、それだけ多くのエネルギーが消費されます。


農産物の種類にもよりますが、従来型の工業化された農業と有機農業の間にも、エネルギー消費に大きな差があります。ドイツの農業関係財団が発表したデータによると、1ヘクタール当たりのエネルギー消費は、従来型の農業で19.4ギガジュール、有機農業で6.8ギガジュールとなっています。


2つの農法の間でエネルギー消費に格別大きな違いが出るのが、肥料と飼料です。従来型農法では、たとえば石油などを原料にして化学肥料を製造します。それに対して有機農業では、肥料や飼料にほとんどエネルギーを消費しません。肥料と飼料は、自然の素材を使って自家製造するからです。


再生可能エネルギーと有機農業には、地産地消という点だけで共通点があるわけではありません。エネルギー消費の少ない有機農業には、再生可能エネルギーと同じように、環境に影響を与えずに社会を持続可能なものにする効果があるのがわかります。


(2017年3月30日掲載)

前の項へ←←      →→次の項へ        →目次へ
この記事をシェア、ブックマークする
このページのトップへ