このプラスエネルギーハウスで実践されていないのが、電気自動車の蓄電池を住宅用の蓄電池として併用する方法です。電気自動車の蓄電池に電気を貯蔵して、必要な時に住宅でも使えるようにします。
プラスエネルギーハウスが構想された2010年はじめ頃には、電気自動車の実用性がはっきりせず、併用はまだ考えられていませんでした。しかし現在、電気自動車を住宅の一要素としてその蓄電池を住宅用にも使う技術が開発されています。
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一般住宅用蓄電池の例 |
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一般住宅用の蓄電池も、住宅の地下などに設置できる小型の蓄電池がすでに市場に登場しています。需要の増加とともに、価格も下がってきました。
電気自動車の蓄電池にしろ、住宅専用の蓄電池にしろ、蓄電池はスマートメーターと組み合わせて、市場での電気料金の変動や需要、消費状況を把握しながら最も適切な時間帯に蓄電し、最も適切な時間帯に公共送電網に給電します。すべてが自動で行なわれるようにプログラミングされます。
家庭用の蓄電池と電気自動車の蓄電池を、地域全体の分散型蓄電池として使う可能性も生まれてきました。発電量が変動する再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を貯蔵する一つの方法として考えられます。一般家庭専用の蓄電池ではなく、地域の電力供給システム全体の一部として機能します。
こうした蓄電池の新しい利用方法については、今後さらに実用試験を行なって、適切な方法を追求していくことになります。
こんなに至るところに蓄電池を使って、それを製造するのに必要な資源が地球上に十分あるだろうか、とても気になります。ぼくは、ドイツ航空宇宙センターで蓄電池を搭載する飛行機を開発しているカロ教授に聞いてみました。
教授は、「それは、問題ない。資源は十分にある。ただ場所によっては、採掘するのがたいへんな場所もある。後は、そのコストの問題だ」、と答えてくれました。
蓄電池を持続可能に使っていくには、それを有効にリサイクルすることも考えなければなりません。
(2017年4月01日掲載)
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