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前回、2026年9月06日に行われたドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州議会選挙において極右政党とされる「ドイツの選択肢(AfD)」が44%近い得票率で他党を圧倒して勝利した背景を探ってみた(旧東ドイツの州議会選挙で極右政党が一人勝ちしたのはなぜ?)。
そこでは、AfDが過疎地区で市民の面倒を見て市民への近さをアピールしてきたことと、有権者がAfDを極右政党として認識していない点を明らかにした。
ドイツ公共放送1チャンネル(ARD)の委託によって投票場前において出口アンケート調査が行われたが、その結果を見てもその点がはっきりする。
AfDは、人口5000万人未満の自治体で得票率48%で他党を圧倒したのに対し、10万人以上の都市になると、得票率は27%で第1党となったものの、第2党の緑の党が20%でかなり接近している。
またAfD投票者の87%は、AfDについて個々には極右的な政治家がいるが、全体としてはむしろ中道だと評価している。メデイアでいくらAfDを極右政党だと報道しても、それだけでは有権者に十分に届いていなかった現実もわかってくる。
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ザクセン・アンハルト州のハルツ地方にあるユネスコの文化遺産になっているクヴェトリンブルクの町役場。観光客の多い町だが、極右政党の州政府になると、観光客の足が遠のかないかと心配だ |
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今回の州議会選挙では、男性投票者の50%がAfDに投票してここでも他党を圧倒した。それに対して、AfDに投票した女性投票者は39%に留まった。25歳未満では、男性の51%がAfDに投票した。学歴で見ると、AfDに投票したのは高学歴者で30%なのに対し、低学歴者では57%にもなる。また低所得者など経済状態がよくない有権者では、65%がAfDに投票している。
この結果を見ると、AfDの政策が高学歴者と高所得者を優遇していることも有権者に届いていないことがわかる。
州全体ではほとんどの党の投票者は個人的な経済状態をいいとしており、ここで最低の割合を示したAfD投票者でも61%が個人的には経済状態がいいとしている。
年齢層で見ると、25歳未満では41%がAfDに投票し、60%以上でAfDに投票したのは39%と、いずれの年齢層でも全体の得票率よりも下がった。これは、35歳から59歳までではAfDの得票率が50%を超え、60歳から69歳まででも47%と、全体の得票率を上回り、それがAfDの全体の得票率を引き上げたことがわかる。
これは、働き盛りで就業して安定した生活をしている有権者の半分がAfDに投票したということでもある。ということは、経済状態が悪かろうが、よかろうが、AfDに投票した有権者が多かったことがわかる。
職業から見ると、ブルーカラー労働者の59%がAfDに投票し、ホワイトカラー労働者は46%、自営業は52%、定年退職者は38%と、AfDが各層で満遍なく得票していることがわかる。特に、AfDが労働者の党になっているのがよくわかる。
ドイツでは、労働者の党は伝統的に社民党だったが、社民党がもう労働者の党として見放された現実が明らかになる。これは、最近の社民党の現状をよく反映している。
今回、投票率が5年前の州議会選挙から15%以上も上がり、78%弱とかなり高い投票率になった。その恩恵を受けたのはAfDで、前回5年前に投票しなかった無投票層から17万票がAfDに流れた。これは、AfDが獲得した総得票数の30%にもなる。
無投票層がどういう人たちなのかは、正確に把握されていないが、政治学者のユリア・ロイシェンバッハさんは、低所得者層、低学歴者層が多いとした。この点でも、AfDが高所得者層、高学歴者層の党であることが、うまくごまかされたといってもいい。
また旧東ドイツの統一政党であったドイツ社会主義統一党(SED)の元党員や秘密警察シュタージーの元職員、SEDの元役員と旧東ドイツ政府の元役員などは、もうSEDの後継政党である左翼党ではなく、AfD支持に回ってしまっていることも知っておいてもらいたい。
ぼくは今回、AfDが第1党になるが、これほど伸びるとは思っていなかった。左翼党から分裂したBSWに至っては、議席を取れるとは思ってもいなかった。それは、BSWの選挙ポスターには国政批判のスローガンしか書かれていなかったからだ。ぼくはもう少し、州の政治に焦点を当てて有権者が投票するのではないかと思っていた。
しかしAfD投票者の89%が州議会選挙において国政にお灸をすえて懲らしめたかったとしており、BSWの結果を見ても国政のずさんさがザクセン・アンハルト州の州議会選挙においてたいへん重要なポイントになっていたことがわかる。
9月20日には、ドイツ東部北部のメクレンブルク・フォアポムメルン州と首都のベルリン市州で議会選挙があるが、ここでも国政批判から投票されるのは間違いない。
メルツ首相のキリスト教民主同盟(CDU)の選挙結果次第では、国政がさらに不安定になる可能性もある。
(2026年9月13日) |