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ベルリンの聴衆は長い間、バロック音楽・オペラに熱狂してきた。しかしベルリンのクラシック音楽界が、バロック音楽に関して不毛な状態になったのはすでに本サイトでも報告した(「ヘンデルのオペラ⟪タメルラーノ⟫」)。
ベルリン・フィルでは、バロック音楽がプログラムに載るが、古楽器オーケストラによる演奏ではない。音が明るすぎて、ちょっと違うよなと感じてしまうのは仕方がない。
ベルリン・フィルでは小ホールにバロックのスペシャリストたちを読んで、バロック音楽の真髄を聴かせてきた。しかしここ2年は、それも頓挫していた。
今シーズン、ベルリン・ドイツオペラとコーミッシェ・オーパーがバロックオペラを取り上げるが、ベルリン・フィルがバロック音楽を演奏するのと同じで、古楽器オーケストラによる演奏ではない。
しかし今回、11月最後の週末3日間で、ベルリン・フィル主催でバロック音楽のスペシャリストたちが揃って、全体で5回のコンサートがあった。
先陣を務めたのは、ウィリアム・クリスティとクリスティが創設した古楽器・合唱アンサンブルのレザール・フロリサンだ。
ヘンデルの作品だけのプログラムで、第1バイオリンと第2バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、チェンバロ(クリスティが演奏)の小編成アンサンブルに、ソプラノ(アナ・ヴィエイラ・レイテ)とメゾソプラノ(シェイクド・バー)の加わるコンサートだった。
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ベルリン・フィリハーモニー小ホールであったクリスティ指揮|レザール・フロリサン演奏による公演後のカーテンコールから。前でお辞儀しているのが、2人の女性歌手。チェンバロの前にいるのがクリスティ |
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演奏されたのは、トリオ・ソナタ第1番a ハ短調、二重唱曲「盲目の愛の、あなたを信じまい(HWV189)」、トリオ・ソナタ第3番 変ロ長調、カンタータ「アミンタとフィッリデ」。
バロック音楽ファンでいっぱいの会場では、トリオ・ソナタ第1番a ハ短調の最初の1小節がはじまるだけで、すぐにこれは来てよかった、大満足という感じが漂う。
弦楽器の柔らかい響きが、何と美しいことか。バロック音楽の抑揚がジーンと心に染みる。
最初の3つの小曲を聞いただけで、来た甲斐があったと感じさせてくれる。
しかし3つの小曲は、前座にすぎない。メインは、カンタータ「アミンタとフィリデ」。
羊飼いのアミンタ(ソプラノが男性役)とニンフのフィリデ(メゾソプラノ)の物語だ。アミンタはフィリデを好きになるが、フィリデはアミンタの恋心をくすぐるため、アミンタを避けていろいろとじらしはじめる。
2人の歌手は、会場の舞台と会場のあちこちで所狭しと追いかけっこをする。しかし、ダイナミックで、軽々と転がるバロック音楽の速いテンポは衰えを知らず、最後はハッピーエンドで終わり、お互いに永遠の愛を誓う。
ぼくはちょうど1カ月半前に、ヘンデルの生地ハレで、ヘンデルの生まれ、育った家を見てきたばかりだった。
生誕の家では、ヘンデルが子どもの頃から鳥の声を聞いては作曲していたのがわかる。コンサートを聞いていても、これは鳥のさえずる声だと感じてしまう。
久しぶりにバロック音楽の真髄を満喫させてもらった。
(2025年12月02日、まさお) |