ドイツでは、1997年に電力市場が自由化され、自分で自由に電力商品を選ぶことができるようになりました。ぼくはそれ以降、再生可能エネルギーで発電された電気だけを供給してもらっています。
再エネ100%の電気といっても、当初は再エネ100%だという保証はありませんでした。そのため、はじめからコジェネレーションシステムで発電された電気も混じっていると公言して、販売する再エネ電気小売事業者もありました。
今でこそ、再エネ100%の電気とそうでない電気の料金の間には、もうそれほど大きな差はありません。でも当時は、再エネ100%の電気はまだ結構割高でした。
ぼくの記憶間違いでなければ、それでも住民の約4%が再エネ100%のグリーン電力を選びました。
それは、どうしてでしょうか。なぜ、電気料金の安い電気を選ばなかったのでしょうか。
環境意識の高い住民がいたからだといえば、それまでです。
ぼく自身は、興味本位で再エネ100%を選んだところもあります。ただ、ぼくにとって再エネ100%電力商品の魅力は、電気料金に再エネ発電施設の建設を促進するための補助が入っていたことだったと思います。
補助は、ほんのわずかです。それでも、自分も再エネ促進のために何かできることがあると思えた。それが、大きかったのではないかと思います。もちろん、原子力発電と火力発電で発電された電気が入っていないことも、魅力であったのは間違いありません。
でも、自分で電気を選択することで再エネを促進できる。ぼくのできることは、ほんの小さなことです。でもそう思えることが、大きな魅力でした。電気料金の問題ではなかったと思います。
そう思って電気を再エネ100%に切り換える住民が増えれば、電力市場は大きく変わります。電力供給という大切なライフラインを、大手電力会社ではなく、住民の管理の下に置くことができるようになります。
そうして、住民の連帯によってエネルギーを公平に共用する基盤をつくります。住民の力で、何か変えることができるのです。
(2020年6月24日)
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