再生可能エネルギーによる発電を普及させる重要な施策が、再エネで発電された電気を市場価格より高い額で買い取る固定価格買取制度(FIT)です。買取価格は通常、毎年下がります。でも一旦確定した価格は、20年間有効となります。ですから、古い再エネ発電施設ほど、買取価格が高くなっています。
固定価格が20年有効ですから、再エネが普及すればするほどその負担が積み重なり、増大します。それを、電気の最終消費者が電気料金の一部で負担しています。
再エネ電力が増えると、電気の卸市場における電気の取引価格が下がります。その分、FITによる固定価格と卸取引価格の差がより広がり、FIT負担がより大きくなるというシステム上の問題もあります。
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ドイツのアッセルン風力発電パーク。この地域は、風車の数からするとヨーロッパ最大か |
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その結果、電気料金が上がります。
地球温暖化から、気候変動の問題がよりクローズアップされるようになりました。再エネの普及は、温暖化対策においてとても重要な施策です。地球温暖化の原因となる二酸化炭素など温室効果ガスの排出を下げるには、発電において温室効果ガスを排出しない太陽光発電や風力発電を増やさなければなりません。
でもそこで、それに伴う消費者の負担を軽減することも大切です。再エネを増やすことに対する消費者のアクセプタンスをより拡大させていく必要があるからです。
そのためには、どうすべきなのでしょうか?
ぼくは、FIT負担を温室効果ガスの排出と連結すべきだと考えています。
どういうことかというと、温室効果ガスの排出をたとえば炭素税などによって課金します。その税収を投入して、FIT負担の一部を軽減します。そうすれば、再エネの拡大と気候変動対策がより密接に連動します。再エネが気候変動対策になることがよりはっきりします。
気候変動の問題の深刻さを考えると、再エネの拡大を加速しなければなりません。そのために、再エネと気候変動対策をこうして連結させます。
(2020年10月21日)
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