再生可能エネルギーを普及させるため、固定価格買取制度(FIT制度)が多くの国で制定されています。それによって発生する負担は、社会コストだといってきました。それなら、社会コストは社会全体で公平に分配されなければなりません。
その負担は、社会全体で公平に分配されているのでしょうか。
負担の分配は、各国で事情が異なるので、各国の状況に応じて分配すべきだと思います。
たとえばドイツの場合、その答えは「ノー」です。
ドイツのFIT制度を規定する再生可能エネルギー法に、負担の免除条項が設けられています。
負担免除の対象となるのは、電気を集中的に使用する企業で、国際競争にさらされ、再エネ負担によって国際競争上不利になる企業となっています。
企業側が申請して、審査の上免除するかどうかの決定が下されます。
再エネ負担を免除されるのは、アルミ製造など電気使用量の多い企業で、ほとんどが大企業になっています。
再エネ負担を免除された企業は、ドイツで発電された電気の卸価格がEU域内でも最も安い部類に属するので、再エネの普及とともにより有利になっています。
それに対して、負担を免除されない企業、主に中小企業では、そのためのコスト負担に苦しむという不公平な状態が続いています。
再エネ負担を免除した分は、免除されない中小企業と一般消費者によって負担されます。その分、中小企業と一般市民の負担がより多くなり、再エネ負担の分配がより不均衡になっています。
再エネ負担を免除されている企業は、再エネが増えるとともに電気の卸価格が下がるという利点を得ています。
国際競争を考えると、すべて平等にとまではいいません。再エネ負担の免除条項を改正して、その一部でもいいので、大企業が再エネ負担を負う仕組みが必要になっていると思います。
それだけで、一般消費者の再エネ負担が減り、電気料金も下がります。
(2020年1月08日)
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