再生可能エネルギーを普及するのは、国家事業です。社会全体の課題だといってもいいと思います。
でも、再エネを普及するための固定価格買取制度(FIT制度)によって発生する負担は、国が負うのではなく、電気料金に加算されています。
つまり、電気の最終消費者である市民がその負担を負っています。その負担に対して、社会全体で責任を負っているということもできます。
再エネ促進が国家事業なら、国が助成金の形で補助することで、再エネを普及させることも考えられます。
国が直接補助すべきだと思う人もいると思います。でも、どうしてそうしないのでしょうか。
国家補助になると、FIT負担が電気料金に加算されないので、電気料金は高騰しません。その分、一般市民の負担が軽減されます。
国家補助にするとは、税収を使って補助するということです。納税者負担になります。
そのための資金を調達するため、国は増税するか、国債などを発行して借金するしかありません。
増税して補助しても、市民が負担することになります。だから、同じだと思うかもしれません。でもその場合、行政機関の仕事が増えて、それによって国にコストが発生します。
FIT制度では、国は電気を買い取る価格を法的に規制するだけです。FIT制度によって発生する管理費などのコストは、すべて民間企業レベルで負担されます。電気の最終消費者である市民は基本的に、FIT制度で規制される電気の買取額によって発生する負担だけを支払います。FIT制度を運用することによって発生するコストは負担しません。
そのほうが、コスト削減効果があると思います。
国が借金をして再エネを補助すると、そのツケは次の世代に移譲されるだけです。それでは、再エネいろはにおいて主張してきましたが、エネルギー供給における世代間の公平さが確保できません。
この記事の冒頭で、再エネ促進は社会的な課題だと書きました。だから、再エネいろはにおいてもFIT制度による負担は、社会コストだといってきました。
その意味でも、再エネに対して国が直接補助しないのは妥当な施策だと思います。
(2020年1月01日)
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