再生可能エネルギーで発電された電気に対する固定価格買取制度(FIT制度)では、再エネ電力が固定価格で買い取られる期間は20年です。これまでは、その後のことについて何回か書いてきました。その際、再エネで発電する発電する発電施設でどれくらいの期間発電できるのか、その点についてはっきり書いてきませんでした。
再エネ発電施設の寿命については、このサイトのどこかでバラバラに書いているはずです。それではわかりづらいので、ここで少しまとめておきたいと思います。
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風力発電設備の中。写真は、発電機やブレードからの回転を増幅させる増速機の入ったナセル(タワーの上の部分)の内部。ナセルは写真のように、外側のケーシングが開くようになっている。ドイツ北部デンマーク国境沿いで撮影 |
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オンライン講座でエネルギーについて話した時、ソーラーパネルのメーカーさんからソーラーパネルの寿命は10年ほどだと聞いたが、本当かと聞かれたこともがありました。そんなに短いはずがないので、メーカーさんがそんなことをいうとはと、ちょっとびっくりさせられました。
ドイツでは、ソーラーパネルの寿命は約25年といわれています。実際には、それよりも長く使えることも多いようです。ソーラーパネルの減価償却期間は10年ほどなので、FIT制度の下で発電しておれば、発電できる半分以上の期間はほとんどコストもなく、発電による利益を丸ごと得ることができます。
個人住宅の屋根に設置したソーラーパネルの場合、FIT制度から抜けても、自分の家で発電された電気を自宅で使えばいいので、寿命の続く限り使えるという利点があります。
風力発電用の風車の場合、設計段階でFIT制度で固定価格の保証される20年をベースに、設計すると聞いたことがあります。ただメーカー毎に、異なる可能性もあります。
風車の場合、ドイツではFIT制度による保証期間が切れると、風車を取り外して、東欧などにセカンドハンドで売却するケースも見られました。その後同じ場所に新しい風車を設置して、新たにFIT制度の恩恵を受けます。
あるいは、リパワリングといって20年稼働した既存風車の発電出力を上げることで、新たにFIT制度の下に入ることもできます。
ソーラーパネルよりも投資コストのかかる風車の場合、FIT制度を利用したほうが、電気を買い取ってもらう固定価格が保証される分、投資リスクが少ないという利点があります。
ただFIT制度による固定価格が、現在もうかなり下がっているので、はじめからFIT制度に依存しないことにすれば、もっと寿命の長い風車が市場に出てくる可能性もあります。洋上風力発電では投資コストが結構かかりますが、FIT制度なしに洋上風力発電を行っている大手電力会社もあります。
ソーラーパネルと風車のリサイクルについては、すでに再エネいろはで書いています。以下の関連記事を参照してください。
(2021年4月28日)
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