前回、再生可能エネルギーで発電する風車やソーラーパネルの寿命について述べました。そこでは再エネ発電設備の寿命が、発電された電気に対する固定価格買取制度(FIT制度)の買取保証期間の20年に大きく依存していることがわかりました。
再エネ発電設備の寿命が、金銭的な魅力によって決まっているということでもあります。しかし実際には、風力発電設備や太陽光発電設備は20年過ぎても、まだまだ発電を続けることができます。
それをもっと有効に利用すべきです。
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風力発電設備のタワー上部にある発電機やブレードからの回転を増幅させる増速機の入ったナセルの後部から、外を見た写真。ドイツ北部デンマーク国境沿いで撮影 |
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個人住宅の屋根に設置したソーラーパネルの場合、FIT制度による電気の買い取り後も自宅で発電した電気を自宅で使えば、電気代を支払う必要がなくなります。余った電気は電力会社に売電すれば、わずかでもその分の収入を得ることができます。
問題は、風力発電です。風力発電設備は、個人で設置したものはほとんどありません。でも、その周辺地区に直接売電することができます。
あるいは、FIT後に再エネ電気小売事業者と直接に電気の売買契約を結ぶこともできます。FIT制度から抜ける再エネ発電設備がこれから多くなるので、小売事業者との直接契約が増えることが予想されます。
たとえば、日本でドイツの市民電力会社として知られるEWSシェーナウ社の場合、FIT制度から抜ける発電設備が増えるのに伴って、直接契約する再エネ発電事業者を探すキャンペーンを行っています。
再エネ電気小売事業者にとり、再エネで発電された電気が自家消費されるのは怖いことなのです。そうなると、買い取って消費者に販売する電気が充分に入手できなくなるからです。その点で、再エネ電気の売買はまだ売り手のほうが強いといってもいいと思います。
こうしていけば、FIT制度に依存せずに、再エネ発電設備の寿命を長くしていくことができると思います。
(2021年5月05日)
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