2021年9月08日掲載 − 再エネいろは
脱炭素社会では電力が中心になるのか?
再生可能エネルギーQ&A

今のところは、そうなると思います。「今のところ」というのは、「現在の技術水準からすると」ということです。


二酸化炭素の排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルや脱炭素ということばが、よく聞かれるようになりました。地球温暖化で気候が変動していることから、できだけ早く石炭や石油などの化石燃料に依存しない社会つくりをしなければなりません。


そのためには、どうすべきなのでしょうか。


発電と交通の脱炭素化については、これまでよく議論されてきました。発電を再生可能エネルギーに切り替えます。それをエネルギー転換といいます。交通においても、ガソリン車やディーゼル車を電気自動車に切り替えます。生物資源から液体燃料をつくることもできます。今のところは多分、生物資源燃料は飛行機の燃料となる可能性が高いと思います。


交通では、水素を燃料にすることもできます。でもぼくは、水素はトラックやバスなどの大型車に限定すべきだといってきました。それは、電気自動車のように、電力はできるだけ最終エネルギーとして、そのまま使ったほうが有効に使うことになるからです。


意外に見逃されているのが、重工業をどう脱炭素化するかです。重工業の中でも、製鉄産業や化学産業、セメント産業などでは、これまで化石燃料が必要不可欠でした。脱炭素化するには、その代わりに水素を使います。その結果、水素の需要が莫大に増えます。


水素は主に、電気分解によって製造します。そのためには、たくさんの電力を使います。


社会を脱炭素化するには、これまで必要だった電力量に加え、電気自動車と重工業において莫大な電力が必要になります。建設業や農業においても、機械は電気化しなければなりません。


社会のほとんどの分野が、電力なしには機能しなくなります。電力が将来、社会の基盤になり、将来社会は、電力中心社会になります。


となると、脱炭素化の結果、どれくらいの電力が必要になるのでしょうか。


たとえばドイツの環境シンクタンク『アゴラ・エネルギー転換』は、脱炭素化によって電力の需要はこれまでの1.6倍になると推定しています。


アゴラの推定では、交通において公共交通の利用拡大やカーシャアリングによって自動車の台数を減らします。その結果、電気自動車化による電力需要の増大が20%増に止まるとしています。需要の増大分の3分の2が、産業において発生するということです。


アゴラの推定は、徹底した省エネを前提にしています。それでも電力需要が今の1.6倍に増大します。それは、かなり大きな課題だどいわなければなりません。


(2021年9月08日)

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関連サイト:
環境シンクタンク、アゴラ・エネルギー転換のサイト(ドイツ語)
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