2022年1月12日掲載 − HOME − 再エネいろは一覧 − 記事
建物の屋根にソーラーパネルをつけるべきか?
再生可能エネルギーQ&A

2011年3月に起こった東日本大震災のような災害が起こると、被害地域では長い間、停電が続きます。でも自宅の屋根にソーラーパネルがあると、災害時であっても、電気を使い続けることができます。


日本のように地震の多いところでは、緊急時に電力が供給されなくなる心配があります。それを考えると、自宅の屋根にソーラーパネルがあるのは大きな利点です。それは一般の住宅ばかりではなく、工場や事務所などの事業所などについても同じことがいえます。


建物の屋根にソーラーパネルをつけるのは、緊急時の対策になるばかりではありません。


ぼくは以前、この「再エネいろは」において「プロシューマー」ということばを使ったことがあります(「再エネで自分で発電すればプロシューマーということか?」)。


「プロシューマー」とは、「生産者(Producer)」と「消費者(Consumer)」を合成させた造語。日本語では、「生産消費者」ともいわれます。何らかの生産活動を行う消費者のことを、プロシューマー(生産消費者)といいます。未来学者アルビン・トフラーが1980年に出した本『第三の波』(徳岡孝夫訳、中央公論社刊)で、はじめて使ったことばでした。


トフラーはそこでプロシューマーのことを、市場における経済活動以外に、市民が市場の外において経済活動を行い、富を生み出している人たちと定義しました。


自宅の屋根にソーラーパネルを設置して、そこで発電された電気を自分で使えば、プロシューマーになります。ソーラーパネル・プロシューマーはさらに、余った電気を売ることもできます。


ソーラーパネル・プロシューマーの場合、もう一つの大きな利点があります。それは、何でしょうか。


暖房や給湯にもソーラーパネルで発電された電気を使えば、光熱費が発生しません。さらに自家用車を電気自動車に切り替えれば、ガソリンなどの燃料にお金を支払う必要がありません。自宅のソーラーパネルで発電された電気を充電するからです。


自宅の屋根にソーラーパネルをつけて自家発電・自家消費すれば、光熱費とガソリン代を毎月支払わなくてもよくなります。ソーラーパネルはほとんど、メンテナンスを必要としません。必要なのは、ソーラーパネルを設置する時に必要な資金だけです。


それどころか、電気が余ればそれを売ることができます。それによって収益が生まれます。蓄電池も設置すれば、電力システムの状況に応じて、蓄電されている電気を売電することもできるようになります。


個人住宅ばかりではありません。たとえばドイツでは、農家が牛舎や倉庫などにソーラーパネルを設置して発電することで、副収入を得ています。農業機械が電動化されれば、燃料費は発生しません。


これは一体、何を意味するのでしょうか。


ある地域において再エネ化が進むと、その地域では光熱費や燃料費が発生しなくなるということです。それどころか、発電によって地域に収益が生まれます。


もう一つは、その地域では地元でエネルギー源が調達されるので、外からエネルギー源を買う必要がなくなます。そのためのお金も外に出て行きません。その分、その地域が豊かになり、エネルギー供給において自立し、独立できるようになります。


問題は、建物の屋根にソーラーパネルをつけることを義務つけるべきかどうかです。ドイツでは、これから新築される建物にソーラーパネルを設置することを義務つけることになると思います。


ぼくはそれよりも、ソーラーパネルをつけることによる利点に関して、もっと情報発信すべきだと思います。さらに、ソーラーパネルを設置する場合の助成金や有利な融資条件を整えて、積極的にインセンティブ政策を講じるべきだとも思います。


たとえばドイツでは今、電気自動車を買うと、最高9000ユーロ(約120万円)の補助を受けることができます。


(2022年1月12日)

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関連サイト:
独環境シンクタンクによるカーボンニュートラル50の施策(プレスリリース、ダウンロード、ドイツ語)
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