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電気自動車はよく、ゼロエミッション車だといわれます。ガゾリン車などと違い、排気ガスを排出しないからです。
それだけで十分ですか。そうではないと思います。
電気自動車で使うために充電されている電気は、どう発電されたのでしょうか。充電された電気が、石炭火力発電や原子力発電で発電された電気でも、電気自動車はグリーンだといえますか。
いえません。電気自動車においても、再生可能エネルギーで発電された電気を充電して使わないと、電気自動車はグリーンにはなりません。電気自動車の製造過程で使われる電気も、再エネで発電された電気でなければなりません。
電気自動車はそれではじめて、グリーンになります。社会は再エネ100%化されないと、電気自動車は完全にはグリーンにはなりません。
まず、電気自動車に充電する電気を再エネ化する必要があります。あるいは今の段階では、電気自動車のユーザーが、再エネ電気か非再エネ電気を充電するかを選択できるようにするべきだと思います。
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グリーン電力を充電する充電スタンド。ドイツ南西部シュツットガルトEnBW社社屋横で撮影 |
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ぼくは、ドイツ南西部の電力大手バーデン・ヴュルテムブルク電力社(EnBW)を取材した時、社屋横に再エネ専用の充電スタンドがあるのを見ました。充電スタンドに、「100%エコ電力(100% Ökostrom)」と書いてありました。そういう充電スタンドはドイツではまだ、稀なケースだと思います。
こういう状態でなぜ、今から電気自動車を新興して普及させるのでしょうか。
いきなり一度に、電気自動車に切り替えることができないからです。電気自動車の生産体制、充電スタンドなどを整備するのに、時間がかかりませす。生産量も充電スタンドも、順次増やしていくしかありません。
同時に、電気自動車が増えるにしたがって、学習効果が生まれます。それを次々に有効に応用すれば、電気自動車にかかるコストが下がっていきます。
新しい技術への切り替えは、そういう形でしか行えません。一度にできるものではないのです。
電気自動車がまだ完全にグリーンではないのは、まだ避けることのできない課題です。それを今、電気自動車はグリーンではないと批判するのは邪道です。
ここで疑問が生まれます。ガソリンと電気を燃料として使うハイブリッド車は、電気自動車へ橋渡しする技術です。今すでに電気自動車がどんどん増えている中で、ハイブリッド車は橋渡し技術として意味があるでしょうか。
ぼくは、ないと思います。
ハイブリッド車が今、電気自動車を普及させるためにどうしても必要なわけではありません。橋渡しとしてハイブリッド車を普及させるよりも、ターゲットを電気自動車に集中させたほうがより効率よく、電気自動車を普及させることができます。今の時点で、ハイブリッド車に二酸化炭素の排出を削減する効果は期待できません。電気自動車のための学習効果も期待できません。
電気自動車に切り替える利点については、このサイトで何回も書いてきましたので、繰り返しません。二酸化炭素の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現するには、交通分野では、電気自動車をダイナミックに普及させる以外に他の方法はありません。
それが最終的に、電気自動車をグリーンにする道につながります。
(2022年1月26日)
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