ドイツは、自家用車を電気自動車に切り替える方向で進んでいる。水素を燃料とする燃料電池車はすでに述べたことがあるように、トラックなどの大型に限定されると見込まれる。
船も、燃料電池化される可能性がある。
でも、自家用車を燃料電池車にするのは、完全に放棄されたわけではない。その可能性はまだ残されている。
電気自動車と燃料電池車の2本立てとすることも、可能性がないわけではない。でもその場合、充電スタンドと水素スタンドのインフラの両方を設置しなければならない。それは、莫大なコスト高を招く。
それなら、どちらか一つのほうがいい。でも、なぜ燃料電池車ではなくて、電気自動車なのか。電気自動車で電気の需要が莫大に増大する心配もある中で、ドイツはなぜ電気自動車に固執するのだろうか。
そこには、とても重要なポイントがある。
それは、電気は発電した電気をそのまま充電器に蓄電して、電気自動車を動かすことができるからだ。
それに対し、燃料自動車ではまず、電気で水素を製造しなければならない。たとえば、水を電気分解させて水素を製造する。これは、中学の理科で習ったことがあると思う。その水素を燃料電池の燃料として使用する。
ただそのために、莫大な電気が使用される。その分、ロスが出ることも考えられる。
その分、電気は発電した電気をそのまま電気自動車に使えるので、そのほうが格段に利用効率がいい。
それが、ドイツが電気自動車を優先する一番の理由だ。
電気は、再生可能エネルギーで発電された電気を使用する。発電量に変動の多い再エネなので、余剰電力をエネルギーとして貯蔵することを考えると、余剰電力で水素を製造しておくことも考えなければならない。
そのため、トラックやバスなどの大型車を燃料電池車として水素の使い道も残していこうという戦略だ。
(2019年12月14日)
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