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ヨーロッパの再エネと原発の現状  4/5
(2008年10月24日)
4) ドイツの例

2007年末時点でドイツにおいて、エネルギー消費全体に占める再生可能エネルギーの割合は8.5%でした(2006年7.5%)。その内訳を見ると、電力消費に占める割合が14.2%、熱消費に占める割合が6.6%、燃料消費に占める割合が6.9%でした。つまりドイツでは、発電において再生可能エネルギーが最も普及しています。


発電では、風力発電の電力消費に占める割合が6.4%と最も多く、次にバイオマスの3.8%、水力発電の3.4%、太陽光発電の0.6%と続きます。


1990年時点で、電力消費に占める再生可能エネルギーの割合が3.4%であったことを考えると、過去20年近くで、再生可能エネルギーは電力分野で4倍以上拡大しています。これまで再生可能エネルギーの拡大に一番貢献してきたのは風力発電ですが、陸上ではすでに飽和状態となっており、今後は洋上風力発電にかかる期待が大きくなっています。しかし、すでにいくつもの洋上風力発電パークの建設が許可されているとはいうものの、実際に建設が開始されるには技術上の問題(大型化など)からもう数年かかるものと見られます。


電力分野で再生可能エネルギーの拡大に最も貢献した施策は、再生可能エネルギー法(前エネルギー供給法)です。これは、電力会社に自然エネルギーで発電された電力の買取を義務付け、その最低買取価格を規定する法律です。元々、市民運動ベースで考案された手法が国政レベルで法制化されました。


法律は、電力を市場価格より高い価格で買い取ることによって再生可能エネルギーによる発電を普及させて再生可能エネルギーによる発電コストを低減させるとともに、効率を引き上げることを目的としています。


最新の再生可能エネルギー法改正案では、電力消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに最高30%まで引き上げることを法的に義務付けています。さらに、2009年から建設される建物に対して、暖房用、給湯用の熱供給の一部を再生可能エネルギーで行うよう義務付け、熱利用に占める自然エネルギーの割合を14%に引き上げると規定しています。


これは、ドイツ政府が温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で40%削減すると独自に設定した目標を達成するための重要な施策の一つとなっています(ドイツはこれまでに、約20%削減)。ドイツ政府は、今回の再生可能エネルギー法の改正による再生可能エネルギーの拡大効果で、温室効果ガスの排出を10%削減する効果があるものと予想しています。


ただ、再生可能エネルギー法によって電力を割高に買い取ることから、それによって負担増となっているのも事実。ドイツ政府は、再生可能エネルギー法による負担(再生可能エネルギー法の経済効果を差し引いた差額)を2007年で43億ユーロ(約7200億円)だったとしています。さらに法改正によって、負担が2015年には71億(約1兆2000億円)ユーロにまで膨らむとしています。ただ、再生可能エネルギーが定着するにしたがって負担が減り、2020年には負担が59億ユーロ(約9900億円)に減少するものと予測しています。


これらの負担は主に、電力料金を引き上げることで回収され、年間の電力消費が3500kWhの世帯で、2007年において月当り3ユーロ(約500円)の負担増、ピークの2015年で月当り5ユーロ(約850円)の負担増になると予測されています。


再生可能エネルギーが普及するにつれて問題となるのは、特に風力発電などで気候条件によって発電量に変動が出ることです。この問題を解決するため、風力発電で発電された電力で圧縮空気をつくり、圧縮空気を地下の岩盤層などの空洞に貯蔵して、それを使ってガスタービンで発電したり、洋上風力発電では発電された電力で水素を製造して貯蔵し、それを水素自動車や燃料電池などの燃料として利用することが考えられています。


(2008年10月24日)
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