ドイツ鉄道の長距離列車ではすでに、再生可能エネルギーで発電された電力だけが使用されている。しかし、ドイツ鉄道の運行する列車全体の再エネ電力率は、まだ約60%程度にすぎない。
それは、ローカル線でまだ電化が進まず、ディーゼル列車が運行されているからだ。ドイツ鉄道では、全路線の40%弱が電化されていない。しかしドイツ鉄道は、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現する計画だ。
そのためには、ローカル線でのディーゼル列車のゼロエミッション化を進めなければならない。ディーゼル列車の中には、燃料としてバイオディーゼルを使用しているものもある。だがそれでは、ゼロエミッションではない。
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水素スタンドでは危険なので、携帯も使用してはならない |
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ローカル線でのディーゼル列車に関してはすでに、ドイツ南東部テューリンゲン州で、水素を燃料とする燃料電池列車が試験的に走行している。ドイツ鉄道はそれを、さらに拡大する計画だ。
ドイツ鉄道はドイツの鉄道大手メーカー、ジーメンス社と共同で、2024年から1年間、燃料電池を搭載する水素列車の運用性について試験する。
水素列車の本格的な試験運用が行われるのは、ドイツ南西部バーデン・ヴュルテムベルク州のチュービンゲン/プフォルツハイム間。地元で、再エネ電力によって燃料となる水素も製造する。
運用試験のポイントは、水素をタンクに満タンにするのにどれくらいの時間を要するかだ。ドイツ鉄道は運用性を考えると、15分以内で満タンにできなければならないとする。
さらに、燃料電池車両とリチウムイオン蓄電池車両を連結して、ハイブリッド化も試験する。
水素列車の最高時速は、毎時160km。全体でまず12万キロメートルの走行・運行試験が行われる。
(2020年11月28日)
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