2022年2月05日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
欧州委、原子力と天然ガスでグリーンウォッシングを確定

欧州委員会は2022年2月02日、原子力発電と天然ガス発電を持続可能だとして、タクソノミー・リストに入れることを最終決定した。


タクソノミー・リストとはいわば、「グリーン・リスト」のこと。そこに持続可能な技術な活動をリストアップすることで、持続可能と認める統一基準を規定する。それによって、持続可能な技術や活動への投資を誘導することを目論んでいる。


欧州委は昨年2021年末、各加盟国に対して原子力発電と天然ガス発電を条件付きで持続可能としてタクソノミー・リストに入れること提案。各加盟国にそれに対して、コメントするよう求めていた。


欧州委の提案には、世界中で持続可能性をごまかすグリーンウォッシングだとの厳しい批判も出ていた。しかし欧州委は、ほぼ原案通り最終決定した。


加盟国と欧州議会にはまだ6カ月間、この決定を十分に検討する時間が残されている。欧州委の最終決定を覆すことも不可能ではない。


ただそのためには、EU首脳会議において27カ国中、20カ国がそれに反対するか、欧州議会において絶対的多数によって否決されなければならない。


ただフランスやフィンランド、東欧諸国は、欧州委の決定を歓迎しており、そのチャンスはかなり小さいと見られる。


独ネッカーヴェストハイム原発
ドイツのネッカーヴェストハイム原発。写真右のドームが原子炉2号機。ドイツでまだ稼働している原子炉3基のうちの1つだ。それも2022年12月31日までに停止される。ドイツはそれに伴い、脱原発を達成する

原子力発電では、2045年までに建設許可の出ている建設計画と2040年までの改造計画がその対象となる。ただし2050年までに、放射性廃棄物の最終処分計画が確定していなければならない。


天然ガス発電では、2030年までに投資される天然ガス発電を対象とする。ただ、石炭火力発電に代わって設置される天然ガス発電所に限定される。さらに2035年までに、燃料を天然ガスではなく、再エネ電気で製造されたグリーン水素やバイオガスなど、実際に持続可能なガスに転換しなければならない。


天然ガスに関する後文部分は、最終決定において改正された。当初は、2026年からグリーン水素やバイオガスを天然ガスと混合することを条件としていた。最終決定では、それを少し緩和した形となっている。


加盟国のオーストリアとルクセンブルクは、特に原子力発電をタクソノミー・リストに入れることに対して猛反対している。この問題で、欧州司法裁判所に提訴する意向を表明している。


(2022年2月05日)
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関連サイト:
EUのタクソノミーに関する説明ページ「EU taxonomy for sustainabel activities」(英語)
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