2022年8月27日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
ドイツで水素列車が定期運行開始


以前ベルリン@対話工房のサイトで、水素列車の試験走行について報告したことがある(「水素列車を試験」)。その時は、ドイツ南東部と南西部における水素列車の試験運行についてだった。


今年2022年8月24日、ドイツ北西部のローカル線では、いよいよ水素列車の定期運行がはじまった。水素列車の定期走行は、世界ではじめてという。定期運行開始まで4年間、試験走行が行われていた。


水素列車が走るのは、ドイツ北西部北海沿岸のクックスハーフェンからブックステフーデの間のローカル線。同ローカル線はこれまで、ディーゼル車で運行されていた。それに代わり、14編成の水素列車が導入される。


車両は、仏アルストム社製のCoradia iLint。ローカル線のあるニーダーザクセン州のニーダーザクセン近距離交通公社(LNVG)が、9300万ユーロ(約140億円)で購入した。そのうちの800万ユーロ余り(約14億円)が、国から助成された。


ニーダーザクセン州と周辺自治体によって共同で設置されたエルベ・ヴェーザー鉄道交通公社(evb)が、運行する。


水素列車の最高速度は140kmhだが、通常運転では、80から120kmhで走行するという。


水素ステーションは、同ローカル線の途中駅ブレーマーヴェルデ駅に、ドイツの産業ガスメーカー、リンデ社によって設置された。水素ステーションには、64基の500バール高圧水素タンクがある。タンクの総容量は1800キログラム。水素1kgは、ディーゼル約4.5リットルに相当するという。


車両にある水素タンクを満タンにすれば、水素列車は1000キロメートル走行可能。同ローカル線で使用するには、1日1回水素を補給すればいい。水素への切り替えで、年間160万リットルのディーゼルが不要となり、二酸化炭素の排出が4400トン削減される。


使用される水素はまだ、グリーン化されていない。だが今後、水素ステーションのあるブレーマーヴェルデ駅において、再生可能エネルギーで発電された電気によって電気分解法で現地製造される計画だ。


(2022年8月27日)
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関連リンク:
evb社の水素列車サイト(ドイツ語)
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