ローカル線と都市公共交通機関の電車や地下鉄、トラム、バスが、月額49ユーロでドイツ全国どこでも乗り放題となるチケットが販売されることについて、本サイトで報告した(「全国乗り放題チケットは月額49ユーロ」)。
そのチケットのことは、「ドイツチケット(Deutschlandticket)」という。ドイツ鉄道や各地小公共交通機関で購入することができる。
ただしチケットは、月毎に解約できる年間定期券扱い。毎月国際銀行口座番号IBANの口座から自動引き出しできない限り、購入できない。月末までで解約したい場合は、その月の10日までに解約しなければならない。
そのため観光客には、ちょっと手に入りにくい。たとえばドイツに友人などがいれば、代わりに買ってもらうのは可能。
チケットは原則、スマホのアプリを利用するデジタルチケット。しかしチケットを発行する地方交通機関によっては、まだデジタル化が進んでいない。そのため、データを入れたチップカードもまだ認められる。デジタル化に慣れていない高齢者向けには、チップカードが優先される。
ドイツチケットは、雇用主が月額49ユーロの最低25%を補助すれば、通勤用チケットして認められ、最高5%まで割り引かれる。
ドイツチケットは、今年2023年5月1日からスタートした。
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ぼくのドイツチケット。ベルリン交通公社で買ったもの。一般には、スマホのアプリに入れるデジタルカードが優先される。ぼくはデジタルカードにしたかったが、高齢者なのでチップカードとなった。各地の交通公社によっては、まだそこまでデジタル化されていないところもある |
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ドイツのある携帯電話プロバイダーが4000万人の携帯電話保有者を対象に、匿名で移動状況を調査したところによると、鉄道の利用者数はドイツチケットを導入する前の2023年4月に比べ、導入2カ月後の6月には、2.5%増加したとする。鉄道を利用する通勤者は、25%以上増加した。
ドイツの交通機関の上部団体であるドイツ交通機関団体(VDV)によると、2023年6月時点でドイツチケットの保有者は960万人。ドイツのヴィシング交通大臣によると、ドイツチケット開始前の2023年4月における年間定期保有者よりも100万人増となったという。
VDVは、通勤用定期としてドイツチケットを利用する人がもっと増え、将来的にはドイツチケットの保有者が1700万人になるだろうと予測している。
(2023年7月23日)
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