2023年5月13日掲載 − HOME − 再エネ一覧 − 記事
学校をカーボンニュートラル化する

ドイツは2045年までに、二酸化炭素などの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを実現することを目標にしている。


そのためには、再生可能エネルギーの利用をこれまでよりも3倍のテンポで拡大しなければならない。そのことについては、たとえば「ドイツが再エネ電力の割合を2030年までに80%にするのは、すごい挑戦」の記事などで報告してきた。


これまでの政策では、産業と発電においてカーボンニュートラルを実現する施策が講じられてきた。しかしそれだけでは、カーボンユートラルは実現できない。今後のターゲットは、一般市民の生活だ。そこにもメスを入れなければ、カーボンニュートラルは達成できない。


具体的には、自家用車の利用であり、家庭における暖房、調理、給湯などの熱供給だ。


自家用車は、電気自動車化することでカーボンニュートラルを実現する。ただそのためには、使用する電気が再エネで発電されていなければならない。


暖房や調理、給湯などの熱供給は、オール電化することで対応する。その電気が再エネで発電されておれば、二酸化炭素などは排出されない。そのため、調理には電気コンロ、暖房と給湯にはたとえばヒートポンプを利用する。


ヒートポンプは日本でいえば、エアコンだ。ドイツではそれに対し、冬の暖房用にヒートポンプを使う(「ドイツ政府、石油・ガス暖房器を廃止へ」)。


ただそれだけでは、一般市民の生活をカーボンニュートラル化したことにはならない。一般市民の生活が、家庭だけに止まるわけではないからだ。


たとえばこどもは、学校に通学する。こどもたちの勉強する学校も、カーボンニュートラル化しなければならない。



まず、学校で使用する電気を再エネ化しなければならない。学校の屋根にソーラーパネルをつけて、自家発電することもできる。ただドイツでは、公共施設におけるソーラーパネルの設置は助成対象にされない。むしろ市民イニシアチブによって、学校の屋根にソーラーパネルが設置されている。


それに対して日本では、環境を配慮した学校施設(エコスクール)を整備推進するため、「エコスクールパイロット・モデル事業」によって、学校の屋根のソーラーパネルの設置などが助成されている。


ドイツでは、教員や学校関係者、その他父兄などが学校において電気自動車を充電できるように、学校の敷地内に充電ステーションを設置するプロジェクトが進んでいる。それをさらに、周辺の住民にも解放して夜間充電できるようにする。


社会の再エネ化には、エネルギー消費を削減するのがとても重要となる。社会すべてにおいて、省エネしなければならない。学校でも省エネを実現するため、ドイツの各地で様々な試みが行われている。


たとえばドイツ西部のドゥイスブルクには、「ESPADU」という学校で省エネを促進するプロジェクトがある。プロジェクトはすでに、20年間続いているという。


ドゥイスブルクは、ドイツの製鉄最大手ティッセンクルップの製鉄所があるところ。同社は2025年に、高炉に水素を入れてグリーン製鉄を可能とする水素高炉を稼働させたいとしている。


地元のギムナジウム(大学進学を目的とする中高統合校)では、こうした地元における技術移転を中高生に知ってもらいながら、再エネ教育をする試みも検討されている。


こうした地元と密着したエネルギー転換教育も必要だ。


(2023年5月13日)
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関連リンク:
カーボンニュートラルとは(環境省脱炭素ポータル)
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