ぼくの生活のカーボンニュートラル度は?

 ぼくはこのブログで、「まず自分の生活からカーボンニュートラル化しようか」と書きました。

 ただそう書いただけでは、不十分です。ぼく自身の生活も可能な限り、カーボンニュートラル化されているべきです。ぼくの生活は実際に、どの程度カーボンニュートラル化されているのか。現時点でそれを、分析しておきたいと思います。そうしておけば、どこをどう工夫すれば、さらにカーボンニュートラル度を上げることができるのかがわかりません。

 そこで、ぼく自身の生活のカーボンニュートラル度を検証してみました。

 わが家では、ドイツで電力市場が自由化されて電力商品を自由に選択できるようになった直後から、再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を供給してもらっています。ドイツの電力市場が自由化されたのが1997年です。もう25年以上も前から、グリーン電力を供給してもらっていることになります。

 しかし当時はまだ、再エネ率は100%ではありませんでした。しかし現在供給してもらっている電力はすでに、再エネ100%化されています。それを証明するため毎年年末になると、わが家の電力供給事業者から書類が届きます。

わが家で使っているグリーン電力の供給事業者から送られてくるグリーン電力証明書。それによると、約57%がFIT電力、43%が非FIT電力であることがわかる。非FIT電力は主に、水力と風力だ。

 わが家ではグリーン電力を供給してもらっているので、家電製品を使う時にはカーボンニュートラルになっていることがわかります。ただそれだけではなく、家電製品を買い替える時には、省エネ度の高い製品を買うようにしています。

 わが家では、調理にも給湯にも電気を使います。そのため、調理と給湯のための熱供給もカーボンニュートラルとなっています。

 暖房だけは、地域暖房熱源がきています。ただベルリンの地域暖房熱源はまだ、カーボンニュートラル化されていません。ドイツ全体では現在、地域暖房熱源の再エネ率(ゴミ焼却からの熱も含め)は約30%にすぎません。この問題は、ぼく自身だけでは改善のしようがありません。

 ドイツ各地においては自治体レベルで、地域暖房熱源をカーボンニュートラル化するため、いろいろな試みが行われています。農業中心の小さな自治体ではすでに、地域暖房熱源が再エネ化され、カーボンニュートラルが実現されているところが結構あります。しかしぼくの住んでいるベルリンのような大都市では、まだまだ時間がかかると思います。

 ぼくはドイツ国内を移動する時はほとんど、ドイツ鉄道を利用します。ドイツ鉄道は、長距離列車に使う電気のためにグリーン電力を購入しています。ただ中近距離交通のほうはまだそこまでいっておらず、100%グリーン化されていません。

 ベルリン市内を走る都市鉄道Sバーンもまだ、グリーン化されていません。しかし市内を走る地下鉄とトラムに使用される電気のために、グリーン電力が購入されています。市内を走る公共バスは2030年までに、すべて電気バス化される計画です。現在電気バスの台数が増える毎に、購入されるグリーン電力量も増えています。

 ベルリンで公共の電気バスに乗れば、グリーン電力で走っていることになります。

 ぼくは10年以上も前からもう、自家用車には乗っていません。タクシーに乗ることもありません。ベルリン市内を移動する時は、公共交通機関を利用するか、徒歩で歩いています。そのためベルリン市内を移動する時は、かなりカーボンニュートラル度が高いと思います。

 一番気になるのは、仕事がらパソコンに向かってネットを使って仕事をしている時間が長いことです。その時、ぼく自身が使用する電気はグリーン電力なので問題ありません。しかしネットサービスを提供するプロバイダーは、どうなのか。それが問題です。

 ぼくは、電子メールアドレスをいくつか持っています。そのうちメインで使う電子メールには、運用にグリーン電力を使っているプロバイダーと契約しています。

 検索では、グーグルの検索エンジンを直接には使っていません。使っている検索エンジンは、グーグルの検索エンジンを使って検索させながらも、ぼくの個人情報がグーグルに流れないようにフィルターをかけているプロバイダーと、ユーザーが検索するとともに熱帯雨林などで植樹を進める「エコジア」というドイツのプロバイダーです。

 クラウドサービスは、ほとんど使いません。ネットを使う時に一番電気を消費するのが、ユーザ自身の電力消費ではなく、サーバーにかかる電力消費だからです。ネット社会においては、サーバーに莫大な電気が使われていることを忘れてはなりません。

 この問題は、あまり指摘されません。しかし気候変動問題で抗議活動を続ける若者たちには、ネットが欠かせません。若者たちには、ネット社会においてサーバーによって莫大な量の電気が消費されていることをしっかり自覚して、活動してほしいと思います。

 水は水道水を活性炭フィルターで濾過して、飲料水として使っています。そのためミネラルウォーターは、ほとんど買いません。買うとしても、ボトルが何回も使用されるリターナブルボトルに入ったものを買います。

 ビールも、リターナブル瓶に入っているビールしか買いません。ワインもできるだけ、瓶がリターナブルになっているものを買います。

 食料品はできるだけ、オーガニックにしています。そのほうが、環境にやさしいからです。さらに、地元産を優先して買っています。

 ワインもほとんど、オーガニックワインを飲んでいます。ビールも、オーガニックにしていたことがありました。しかし手頃な値段のオーガニックビールが品切れになっていることが多く、今はオーガニックではないビールを飲んでいます。これは今後、改善したいところです。

 衣料品はどうか。以前持っていた衣料品の半分近くは、オーガニックでした。しかし現在は多分、オーガニックは全体の3分の1くらいにしかならないと思います。衣料品はオーガニックだと長持ちするので、一旦買うと長い間買う機会がありません。でもこれからは、衣料品のオーガニックの割合をもう少し高くするように努力したいと思います。
 
 こうして見ると、ぼくの生活はぼく自身が思っていた以上に、カーボンニュートラル化されているのではないかと思います。個人の生活をカーボンニュートラル化するには、まず再エネで発電されたグリーン電力を供給してもらうだけで、カーボンニュートラル度が俄然高くなります。

 個人の生活では、そこがポイントです。まずはそこから、はじめたいと思います。

2023年4月30日、まさお

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関連サイト:
日本の市民電力供給会社グリーンピープルズパワー株式会社

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