ベルリン@対話工房のサイトの最初のページでは毎日、前日の発電電力量における再生可能エネルギーの割合を更新している。それを見ると、発電電力量における再エネの割合が毎日大きく変動していることがわかる。
現在、過去30日間における1日の発電電力量における再エネの平均割合は70%を超えている。しかし1日ごとに、再エネの割合が20%台から80%台の間を大きく変動する。その結果、再エネの割合が少ない日の発電コストが急増する。
再エネによる発電電力量の変動が、再エネにおける大きな問題だ。この問題を緩和する一つの方法は、蓄電設備を増やすことだ。
ドイツでは昨年2024年、蓄電設備が約60万基近く新たに稼働し、蓄電容量が前年比で50%増となった。2024年末の時点で全体で、180万基の蓄電設備があり、蓄電容量は19GWhに上る。
蓄電設備は一般家庭ばかりでなく、工場などの事業所での蓄電設備、大型蓄電施設が大きく増加する傾向にある。
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ドイツ北西部のシュヴェリーンにある15MWの蓄電施設。ここでは、周辺の風力発電施設で発電された電力を送電網における周波数の変化に応じて、自動で蓄電、放電している。使っているのは韓国サムスン社製の蓄電池(下の写真) |
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昨日2025年6月5日には、ドイツ北部のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州で出力103.5MW、蓄電容量238MWhのコンテナ型大型蓄電池システムが稼働した。建設には、1年あまりしかかかっていない。
大型蓄電施設が増えている背景には、中国産の蓄電池の価格が大幅に下がってきたことがあるという。
今年2025年だけでもまだ、蓄電容量600MWhの大型蓄電施設が2基稼働する予定だ。2027年になると、1000MWhを超える大型蓄電システムも登場する見込みだ。
ただ蓄電設備は春から夏にかけて有効なものの、晩秋から冬季における再エネ電力の大幅な変動には適さないとも見られる。晩秋から冬季にかけては、ガス発電容量を拡大して対応するしかないというのが、現在の見方だ。
そのためには、バイオガス発電や水素を燃料とするガス発電が必要になり、ガス発電を維持していくには、そのための維持資金を調達することに特化した容量市場も必要になる。それについては、「再エネには、発電電力量の変動に応じて発電する調整力、予備力が必要」の記事でも述べている。
(2025年6月06日)
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