2026年7月17日掲載 − HOME − 脱原発一覧 − 記事
フランスとスイスでは猛暑で原発停止

フランスの電力会社フランス電力(EDF)によると、先月(2026年)6月末から7月にかけ、原子力発電所(正確には原子炉)の出力抑制や停止が続き、7月中時点で3基の原子炉が停止し、7基の原子炉で出力を下げる出力抑制が行われている。


停止しているのは、ゴルフェッシュ原発とビュジェ原発、ショー原発でそれぞれ原子炉1基。出力抑制しているのは、サン・タルバン原発とブレイエ原発、ビュジェ原発でそれぞれ原子炉2基、ショー原発の原子炉1基だ。


ヨーロッパの原発は主に内陸に立地し、核分裂によって発生した熱を河水によって冷却し、その排水を川に戻している。


しかしそれによって河川の水温が上がり、川に生息する魚や植物など周辺の生態系に影響を与える。そのため、河川の水温に上限が規定され、それを超える場合に出力抑制や運転停止が義務づけられている。


今年は、5月からヨーロッパ南部を中心に熱波による猛暑が何度となく続いたことから、河川の水温が上がっていた。それに加えて原発からの排水によって水温がさらに上昇すると、水温が規定された上限を超える。そのため、出力抑制ないし運転停止が行われる。


その結果、フランスの発電量全体の7%が失われ、それをガス発電によって補填している。


4年前の2022年には、フランスで猛暑と干ばつ、それに加えて原発の冷却系統の故障で、フランスの原発の半分以上が停止するという異例の事態となった。そのため隣国のドイツなどがフランスに電力を供給しなければならなくなり、ドイツは最終的な脱原発の時期を数カ月遅らることを余儀なくされた。


しかし今回は原発の冷却系統に問題がないことから、2022年のようなことにはならないと予想されている。


その他スイスでもスイスの電力会社Axpoは、ベツナウ原発の原子炉2基をまず出力抑制したが、その後に運転を停止しなければならなくなった。それも、熱波による川の水温上昇が原因だ。


クルシュコ原発取水口
スロベニアにあるクルシュコ原発の取水口。この原発は、ユーゴスラビア時代に設置されたものだが、東欧諸国の原発としては珍しく米国ウェスティングハウス製だ

それに対して独グリーンピースが伝えているところでは、ドナウ川の水温が30度以上に上昇している。しかしハンガリーは、特別許可によってパクシュ原発の運転を続けさせているという。パクシュ原発の排水はドナウ川に排水されるが、ハンガリーは電力の安定供給を優先させているということだ。


ドナウ川には、ルーマニアのチェルナボーダ原発からも排水が排出されている。ぼくが現地で取材した限りでは、それに伴ってドナウ川の水温が平均で1.5度上昇している。しかし今のところ、チェルナボーダ原発が運転を停止したという報道はない。


東欧諸国では、再生可能エネルギーの普及が進んでおらず、脱炭素化を実現するため、EUはグリーンウォッシングという奇策によって原発に依存しているという事情がある。


ヨーロッパの原発は日本の原発と違って内陸に設置され、海よりも俄然水量の少ない河川から冷却水を取水している。その分、熱波の影響を受けやすい。脱原発したドイツの原発でも夏の暑い時に、河川の水量が減って水温が高くなって冷却水を取水できず、原発が何回も停止されていた。


原発は気候変動に弱く、安定供給が保証されないということでもある。


気候変動による熱波の影響は今後、さらに強まることが予想される。それに対抗するには、たとえば気候変動の影響に柔軟に対応できる強力な冷却システムを開発、設置することだ。


そのためには、莫大な投資が必要になるうえ、時間もかかる。ヨーロッパの原発には高経年化しているものが多いだけに、それで経済的に採算性があるとは到底思えない。


さらに新しい冷却システムを設置するまでに時間がかかるので、その間は原発の安定供給が保証されない。停止された原発の代替としてガス発電所を稼働させていては、気候変動対策にもならない。


これまで何回もサイトにおいて指摘してきたが、この問題を最も効率よく、経済的に解決するには、脱原発して再生可能エネルギーに依存する以外にない。


悲しいかな、その現実に目を背けているのが現状だ。


(2026年7月17日)
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関連サイト:
フランス電力(EDF)の公式サイト(英語)
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